六ヶ所村、核燃再処理工場ゴーサインに疑問符 航空機墜落事故の評価と対策は甘すぎる
原子力発電所で発生した使用済み核燃料を再処理する工場は、日本が国策として推進する核燃料サイクルの要だ。使用済み核燃料を「ゴミ」として処分するのではなく、化学処理によって核物質プルトニウムを取り出すことで発電に利用(リサイクル)する。再処理工場とは、膨大な量の核物質を扱う巨大な化学工場にほかならない。
原子力規制委員会は5月13日、日本原燃が建設した再処理工場(青森県六ヶ所村)が新しい規制基準に適合している旨を示す審査書案を取りまとめ、工場の基本設計が規制委員会の基準を満たしていることを示す「合格証」を近く出す見通しだ。
日本原燃は工場の安全対策工事を進めるとともに、工場の詳細設計に当たる工事計画や保安規定の認可を経て、将来の操業を目指している。
航空機が墜落したらどうなるか
六ヶ所村の再処理工場は1993年に着工されてからすでに27年が経過している。将来の廃止費用を含め、総額16兆円と見込まれる巨額の費用をのみ込み、決して日の目を見ることのない未完のプロジェクトとみなされてきた。それが、ついに引き返すことのできない地点に到達しようとしている。
再処理工場の審査で、敷地近くに存在する断層の活動性や火山の巨大噴火とともに検証すべき論点の一つとなったのが、再処理工場に航空機が墜落した場合の影響と対策だ。
再処理工場から約30キロ先には航空自衛隊と在日米軍が共同使用する三沢基地が存在している。ここ数年に限っても、墜落事故や爆弾の投下ミス、タンクの投棄などの事故やトラブルが相次いでいる。
規制委員会の審査書案には、「(米軍が実戦配備する)戦闘機F16に対して防護設計がなされている」としたうえで、事故が起きる確率が審査上の基準とされる「10のマイナス7乗/年」(1原子炉・年当たり1000万分の1の確率)を下回っていることを理由に「追加的な防護措置は不要」だと書かれている。
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