想定外だらけ「次期米国政権」襲う4つの難題 これまでにないほどの危機に直面している
11月3日の大統領選まであと5カ月を切ったが、アメリカにおける2月以降の状況が、4つの大きなサプライズを生み出している。そして、こうした予想外の展開は、現職のドナルド・トランプ大統領と、対立候補のジョー・バイデン前副大統領のどちらが選挙に勝利するかにかかわらず、2021年1月20日に発足する新政権に4つの重大な課題を突きつけている。
バイデン、崖っぷちからの勝利
1つ目のサプライズは、2月29日に行われたサウスカロライナ州の予備選挙でバイデンが圧勝したことである。3日のアイオワ党集会、11日のニューハンプシャー予備選、22日のネバダ州の党集会で連敗を喫したバイデンは、まさに崖っぷちの状態にあり、サウスカロライナ州で敗れていたら大統領選から撤退せざるを得ないと見られていた。
しかし、アフリカ系アメリカ人のジム・クライバーン下院議員とアフリカ系アメリカ人有権者の支持のおかげでバイデンは奇跡的なカムバックを果たし、一般投票の49%を獲得して決定的な勝利を収めた。
2つ目のサプライズは、3月3日のスーパーチューズデーまでに、バイデンは複数の重要な州の予備選挙で勝利し、その結果、エイミー・クロブシャー、ピート・ブティジェッジ、マイク・ブルームバーグ、トム・スタイヤー、ベト・オルークなど、民主党におけるかつてのライバルの多くからの支持を得ることに成功したということだ。
予備選挙のこれほど早い段階で、1人の候補者のもとにこうした結束が民主党でできると予測していた者はほとんどいなかった。むしろ観測筋のほとんどは、全国大会(もともと7月13~16日に予定されていた)に向けて党に深い亀裂が生じると予測していたし、「ブローカード・コンベンション」(仲裁集会)の可能性さえ指摘されていたのである。
民主党がこれほど早期にバイデン支持で団結できた1つの理由として、党内の多くが、穏健派の間で戦いを続ければバーニー・サンダースが党の指名を獲得することになるとおそれていたことがある。民主社会主義者を自称するサンダースが民主党候補者になれば、トランプが再選を勝ち取る可能性が高まるだろうと考えられた。
少なくともこれは、リチャード・ニクソン大統領がジョージ・マクガバン上院議員から地滑りで再選を勝ち取った1972年の大統領選や、ロナルド・レーガン大統領がウォルター・モンデール元副大統領から地滑りで再選を勝ち取った1984年の大統領選から、民主党員の多くが得た教訓である。
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