ROE・効率性重視では製造業が生き残れない理由 不確実性とダイナミック・ケイパビリティ
新型コロナの拡大は、中国からの部材調達がストップするなど、サプライチェーンにも多大な影響を与えている。
将来が予測困難な世界において、製造業はどのような経営戦略をとるべきなのか。
評論家の中野剛志氏が「不確実性」と「ダイナミック・ケイパビリティ」をキーワードに読み解いていく。
問題はパンデミックそれ自体ではない
新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、世界の様相を一変させると言われており、早くも「ポスト・コロナ」社会の「ニュー・ノーマル(新常態)」についての議論が活発に行われている。
もちろん、そういう議論は必要である。ただし、問題の本質を見誤ってはならない。
例えば、中国武漢で感染爆発が起きた際、中国からの部材の供給が途絶したため、製造業のサプライチェーンを見直すべきだという声が高まった。その問題意識は正しい。しかし、中国から移した新たな製造拠点の国で、自然災害や戦争など別の危機が発生したら、再びサプライチェーンを見直さなければならなくなるだろう。
要するに、問題は、パンデミックそれ自体ではない。予測困難な激変が突然起きるという「不確実性」こそが、問題なのである。
「不確実性」には、パンデミック以外にも、自然災害、地政学的紛争、サイバーテロ、破壊的な技術革新、政治の不安定化など、いくらでもある。最近では、ブレグジットや米中貿易摩擦などが挙げられる。
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