「集団免疫」でのコロナ終息があまりに無謀な訳 ニューヨークや武漢でさえ感染率は低い

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新型コロナの集団免疫閾値はまだ正確には不明だが、人口の60〜80%が感染して免疫を獲得すれば閾値に達すると考える疫学者が多い。免疫獲得率がこれを下回ったとしても、病気の感染拡大をいくらか遅らせることは可能だ。ただ、集団免疫が達成されれば、感染がアウトブレイク(大流行)に発展するリスクは大幅に低下する。

「集団免疫を安全に獲得する良い方法はない。はっきり言って、短期間では無理だ」とミナは言う。「コロナを激しく再流行させるのなら別だが、そんなアプローチは社会的に受け入れられないだろう」。

集団免疫は「防火帯」にはなる

集団免疫は、1度感染すれば2度目の感染からは守られる、という前提に基づいている。新型コロナの免疫獲得が可能なことを示唆する証拠は存在する。ただ、それがあらゆるケースに当てはまるのか、免疫はどれくらい強力なのか、どの程度長続きするのか、といった点はまだ明らかになっていない。

集団免疫は感染拡大を遅らせる「防火帯」と考えてはどうか、とミナは提案する。

仮にあなたが新型コロナに感染し、ある部屋に入ったとしよう。そこにいる人が誰も免疫を持っていなければ、あまたは平均して2~3人に感染させることになる、とミナは言う。

「これに対し、部屋にいる人の4人に3人が免疫を持っていた場合には、あなたが感染させる人数は1人か、それよりも少なくなる」。そこから広がっていく感染者の数も少なくなるということだ。このようにして、大規模なアウトブレイクが発生する可能性は大幅に低下していく。

ただ集団免疫が獲得できたとしても、感染者は一定数、出続ける。「ウイルスにさらされたときの個人的な感染リスクそのものは変わらない」と、ジョンズ・ホプキンズ大学の疫学教授、ジプシャンバー・ドゥスーザは話す。「ただウイルスにさらされる可能性が大きく下がるということだ」。

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