ドイツ鉄道優遇の「緊急支援」、民間他社が反発 オーストリアは元国鉄と民間を平等に支援
世界中で猛威を振るう新型コロナウイルスは、鉄道を含む公共交通機関にも深刻なダメージを与えた。日本でも、新幹線や大都市圏の鉄道利用者数が軒並み50~90%の大幅な落ち込みとなった。JRや大手民鉄もかつてない苦境にあえぐ状況では、経営基盤が弱い中小私鉄は経営破綻に追い込まれかねない。
ヨーロッパ各国の鉄道会社は、さらに深刻な状況だ。日本の「自粛」とは異なり法律で移動が禁止されたため、公共交通機関の利用者数はほとんどが一時的に90%を超える落ち込みとなり、政府支援のない民間企業の多くは運行中止を余儀なくされた。
民間鉄道オペレーターの危機
だが5月以降、ヨーロッパ各国はようやく落ち着きを取り戻しつつある。こうした状況を受け、過去2カ月間に大きなダメージを受けた経済を立て直すため、各国とも移動制限の解除を皮切りに、緩和へ向けた動きを見せている。
多くの犠牲者が出たイタリアの鉄道は、ソーシャルディスタンス確保のために座れない座席を設けるなどの対策を取っており、各列車の定員はいずれも半分となっているものの、徐々に運行本数を増やしている。スペインもマスク着用を義務付け、不要不急の移動は避けるよう推奨しているが、多くの列車を運行再開している。その他の国も、5月以降は徐々にサービスを再開しつつある。
しかし、この2カ月間に交通機関が受けたダメージは甚大だ。特に航空会社は、優良企業として名の挙がるルフトハンザ・ドイツ航空やエールフランスでさえ、政府の支援なしで立て直すことは困難な状況だ。
鉄道も同様だ。特に深刻なのはオープンアクセスによって新規参入した民間の列車運行オペレーターだ。公共交通機関の維持という名目で政府の支援が得られやすく、規模も桁違いに大きい旧国鉄各社に対し、民間会社の多くは規模も小さく、支援がなければ経営破綻に直結するためだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら