公的資金制度が消滅戦略的活用に向け制度の期限延長を

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 仮に、業界単位による資本支援制度の実施が拡大すると、協同組織金融機関の場合、支援制度の維持そのものが危うくなりかねないという議論が早くも出ている。中でも、相対的に経営体力が弱いとされる信用組合に懸念が指摘されている。実際、今回、複数先に支援が実施される。

最近、耳にするのが信用組合と信用金庫の業界統合的な構想だ。信用金庫業界には体力が温存されているので、一体的に運営すればこの問題を解決できると言う。確かにそうかもしれないが、それでは信用金庫業界が納得しまい。

関西圏などで地銀クラスの再編話もちらついている。前向きな地域再編であれば結構だが、地域経済の疲弊ぶりと一部銀行の不良債権比率の高さを垣間見ると、今後に現実化するかもしれない地域再編がすべて前向きなものとは限らない。

国会論議が必要

金融機能強化法の適用実績は乏しい。これは、地銀以下の地域金融機関レベルで再編が遅れていることと無縁ではない。しかし、経営の効率性などの観点から再編の必要性があることは否定できない。

一方、地方経済、地方企業の再生が重要課題であることは明らかだ。国はようやく地方版企業再生に着手する。その過程で金融機関には不良債権最終処理に伴う損失が発生しかねない。引き当て処理が進んでいるので、金融機関に与える衝撃度はある程度抑制できるが、それでも収益上の影響は皆無とは言えない。

企業再生を通じた地方経済の本格的再生を目指すのならば、その規模は大きくなる。それに伴って、金融機関への影響は増す。そのときこそ、金融機能強化法を活用した地域金融機関の再編も促進されてよい。

国会はガソリン税の暫定税率延長問題で大騒ぎだ。その一方で、同じように期限が到来する金融機能強化法問題はまったく議論されていない。

少なくとも、都市部と地方の経済格差問題を政府に問うてきた野党は同法失効について、政府から「それでも大丈夫」という言質を得る必要がある。それが政治の手続きだろう。3月末まで、ほぼ1カ月足らず。その間の国会論議を求める。
(浪川攻記者 =週刊東洋経済3月1日号より)

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