公的資金制度が消滅戦略的活用に向け制度の期限延長を

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 ましてや、預金全額保護策がとうに解除されている以上、経営破綻はペイオフ発動につながる。1990年代を通じて、日本国民は金融破綻には随分と慣れた。慣れすぎたと言っても過言ではないほど金融破綻が相次いだ。しかし、それらはすべて預金者責任が問われない破綻処理だった。預金者にとって、利害得失上、金融破綻は本質的に馬耳東風の出来事だったにすぎない。

しかし、金融機関に預け入れている預貯金が破綻処理の一環として削られたらどうか。話は根底から覆される。当該金融機関に厳正な検査が行われていたのか、あるいは、きちんとすべての預金者に同率で責任が問われているのか等々、過去にはなかった激しい議論が噴き出す。

預金者イコール国民の批判は、金融機関経営者のみならず、政府も監督当局も90年代とは比較にならないほどの厳しさで迫ってくる。経営者、政治家、官僚の皆さんは、その覚悟ができているのだろうか。

覚悟が足りないと、往々にしてゴマカシがまかり通るようになる。方法は多種多様である。経営者は抱え込んだ損失をあれこれと技巧を凝らして隠蔽しようとする。それに目をつけて、隠蔽ビジネスを持ちかける輩が徘徊しだす。政治家たちは「そんなことは知らなかった」と言って、官僚に責任を押し付ける。官僚はまごつく。あるいは「柔軟に」という表現を用いて、制度運営の場当たり的な変更で事態回避を試みる。

90年代において、われわれが目の当たりにしたことである。

その反省から導入されたのがルールを明確にした金融行政だ。自己資本比率が一定レベルに低下すれば、事態の早期是正を促すという制度が編み出された。それにもかかわらず、なぜ、一部信用組合では著しい過小資本状態が放置されたのか。

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