駅の案内で大活躍「AIさくらさん」の別の顔 社員向けヘルプデスクなど導入企業は300社

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ただ、高輪ゲートウェイ駅と比べると、画面にタッチして会話をするというスタイルに利用者が慣れていないようで、「問いかけやすい環境を整えるために、受話器を設置するといったことも、これからの検討の1つとなる」という。

横浜駅西口の商業施設「相鉄ジョイナス」も2月からAIさくらさんを導入している。HP上でもさくらさんを活用した案内を行っており、新型コロナウイルス感染拡大防止のため営業時間短縮が行われていた時期は、HP上での問い合わせが活発だったという。

「AIとの併用で、案内スタッフはより高度な接客をする機会が増え、接遇レベルの高度化につながる」と、ジョイナスを運営する相鉄グループの担当者は期待する。

有事の際にも出番が増える?

鉄道会社では案内を目的とした活用事例が主体となるが、それ以外の企業では、社内の業務改善を目的としてAIさくらさんを導入したケースもある。たとえば、申請書の作り方、社内問い合せの対応などだ。「パソコンのログインIDがわからない」といった問い合わせもあるといい、確かにこうした問い合わせはAIに任せてしまったほうがよさそうだ。

AIさくらさんは外国人向け案内も得意(写真:ティファナ・ドットコム)

社外からの問い合せでも商品の使い方、使用方法などよくある問い合わせはAIさくらさんに対応させることもできる。こうした業務をAIに置き換えることで、担当者はより高度な業務に従事することが可能になる。音声だけでなく、ジョイナスのようにWeb上での対応も可能であり、人間と違って24時間365日対応というのも長所だ。また、「人には聞きづらいデリケートな質問もAIになら気軽に質問できる」(ティファナ・ドットコム)という、AIならではの強みもある。

新型コロナウイルスの感染を最小限に抑えるための対策として、同社では非接触型のAIさくらさんも開発した。画面に向かって手をかざし操作することで、画面に触れることなく音声による対応が可能となる。「交通機関や商業施設などに緊急事態宣言解除後、順次設置していく」という。

時代の変化に合わせてAIさくらさんも進化している。日常業務だけでなく、有事の際にもさくらさんの出番が増えるようになるかもしれない。

週刊東洋経済5月16日号「AI先駆企業に学ぶ現場への正しい導入方法」から一部を抜粋の上、大幅加筆しました。
大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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