駅の案内で大活躍「AIさくらさん」の別の顔 社員向けヘルプデスクなど導入企業は300社

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6年ほど前にAI開発に着手。初期バージョンを完成させると、取引先企業に「使ってみませんか」と次々に声をかけた。

もともと、このAIには「KIZUNA(絆)」という名前が付けられていた。しかし、さくらさんというキャラクターの人気が高まり、現在は「AIさくらさん」に“改名”してビジネスを展開中だ。

ティファナ・ドットコムの本社でAIさくらさんのデモを行うスタッフ(撮影:梅谷秀司)

現在の導入企業は300社に達する。鉄道の案内業務だけがAIさくらさんの役割ではない。たとえば社員向けのヘルプデスク業務など、複雑でない問い合わせならさくらさんで十分可能であり、担当社員の負担が減る。担当社員の交代や臨時スタッフが多い職場では、さくらさんが業務の手順や顧客ごとの対応などを教えてくれる。顧客がオフィスを訪問した際に受付として社内の担当者に取り次ぐこともできる。さくらさんをコールセンターとして活用する会社もある。

「ゆうちゃん」「もえちゃん」、さらに男性の「藤原さん」など複数のキャラクターがあるが、「さくらさんが最も人気がある」と、同社の担当者が話す。ティファナ・ドットコムのホームページ(HP)では、さくらさんの履歴書を公開しており、そこには生年月日、学歴、職歴、性格なども記載されている。興味がある人には一見の価値がある。

「学習の頭脳は2軸」

AIさくらさんの標準的な料金プランは、「初期導入費用90万円+ライン数に応じた変動料金」。ワンセットの質問と回答を1ラインとして数える。似たような言い回しや言葉のゆらぎで異なるような質問であってもさくらさんが同じ質問として判断してくれる。最も人気が高いのはライン数2000のプランで月額55万円という。ライン数がベースになるので、毎月の問い合わせが増えても料金は変わらない。

関西の私鉄大手、近畿日本鉄道もAIさくらさんを導入した企業の1社。大阪難波、近鉄名古屋など主要駅で2月から案内サービスの実証実験を行っている。日・英・中・韓の4カ国語で乗り換え情報や観光スポット情報などを案内する。「外国語を話せる人材の確保は容易ではなく、コンシェルジュの不在時やほかのお客様への接客中で手が離せないときに頼りになる」と近鉄の担当者は話す。

近鉄は複数の駅で活用することを踏まえ、駅ごとにご当地のイメージを出した。たとえば、名古屋駅のさくらさんはエビフライの形をした髪留めを付けている。大阪難波駅のさくらさんはたこ焼きを手に案内を行っている。

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