「ワクチン不要論」信じる人があまりに危険な訳

誰が「ワクチンは危険!」と吹聴するのか?

たとえば母子手帳にもワクチンの情報はありますが、わかりやすくはありません。最初に定期予防接種が紹介され、そのあとに任意予防接種が紹介される決まりとなっています。たしかに、受けるべきワクチンが漏れなく掲載されてはいます。

でも、ほかの国の母子手帳を見たら、受ける順番に載っていて驚きました。すごくわかりやすいのです。保護者もうっかり時期を逃すことがないし、医師も確認しやすいでしょう。

ご自分でワクチンについて熱心に勉強される保護者も少なくありません。その熱意には、頭が下がります。ところが、インターネットでワクチンについて検索すると脅かすような不正確な情報が多く、書籍を探そうとすると「不要」「やめなさい」「副作用の恐怖」などというタイトルのものがぞろぞろと出てきて、それを見ると反射的に「ワクチンって怖いものなんだ!」と思う人がいても仕方がないと思います。

ワクチンを打たないとどうなる?

乳幼児健診をしていると、「ワクチンはなるべく打ちたくないんです」と言う保護者と出会います。

あるとき、外来で「おたふく風邪ワクチンを接種したくありません」と話してくれた保護者に、いまだに流行することがあること、感染した子の数百人から1000人に1人に治療法のない「ムンプス難聴」という聴覚障害が起こること、ほかにも無菌性髄膜炎(ずいまくえん)、血小板減少性紫斑病(しはんびょう)、脳炎、精巣炎などの合併症があることを説明しました。

(図:『小児科医ママが今伝えたいこと! 子育てはだいたいで大丈夫』より)

上の表は、おたふく風邪に自然感染した場合とワクチンを打った場合の合併症の頻度を比較したデータです。ワクチンを打ったほうが確実に頻度が低いことから、自然感染するよりもはるかに安全に抗体を獲得できることがわかります。

また、おたふく風邪は「不顕性感染」といって、感染していても発熱や耳下腺の腫れといった症状がわかりにくく、本人も保護者も気づかないことがあります。それでも、無菌性髄膜炎、精巣炎、膵炎を起こす可能性は十分にあるのです。

特に2歳以下では発熱することが少ないので、知らないうちにおたふく風邪になり、難聴になっている子がいるかもしれません。2歳以下のお子さんが自分から「片耳が聞こえない」と言い出すことは、まずありません。だからこそ、ワクチンで予防することが大きな意味を持ってくるのです。先進国でおたふく風邪ワクチンを定期予防接種にしていない国は日本だけです。

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