日本企業が今も根付くアマゾンの理念に学ぶ事

情報社会の次に来る「Society5.0」へ臨むために

そのためにまず必要なのは、目の前にいる顧客へ価値を提供すること、その顧客の課題を解決すること。その積み重ねが、その集積が、社会的課題の解決にもつながります。いわば、ミクロ的な人間中心主義からのスタートです。

これは決して難しいことではなく、すでにアメリカ、中国のテクノロジー企業が手本を見せてくれているものです。彼らの言うカスタマーエクスペリエンス重視とは、人間中心主義の一端であることは否定できないでしょう。

 もしもベゾスが人間中心主義を定義するなら

もしも、アマゾンのジェフ・ベゾスがSociety5.0の人間中心主義を定義したら、どうなるだろう。筆者はそんなことを考えます。

金融専門誌ユーロマネーによる「ワールドベストデジタルバンク」の称号を2度獲得したシンガポールのDBS銀行は、デジタル化にあたって、こう考えたそうです「ジェフ・ベゾスが銀行をやるとしたら、何をする?」。そこから逆算する形で、彼らは「会社の芯までデジタルに」「従業員2万2000人をスタートアップに変革する」等の、大胆な方針を導き出しました。

同じように、「アマゾンのジェフ・ベゾスが日本におけるSociety5.0の人間中心主義を定義したら」と考えてみることは、面白い示唆を与えてくれることでしょう。

ヒントとなるキーワードは「マクロ宇宙」と「ミクロ宇宙」です。「マクロ宇宙」とは「地球上で最も顧客第一主義の会社」というアマゾンのビジョンや、「宇宙を目指す」といったベゾスの壮大な世界観を表現するのに適切な言葉であると思っています。

一方、「ミクロ宇宙」とは、ミクロ的で小さな宇宙のことを指し、1人ひとりの人間や1つひとつの細胞を表す言葉です。ベゾスは顧客第一主義を「聞く」「発明する」「パーソナライズする」と定義し、「顧客をその人の宇宙の中心に置く」ことをパーソナライゼーションとしてきました。「顧客1人ひとりの宇宙に対応する」という意味においては、人間中心主義とも言えるのではないかと思います。

この考え方を援用してみましょう。するとベゾスはおそらく「地球上で最も人間中心の国になる」ことをマクロ宇宙とし、ミッション・ビジョンとして定義してくるでしょう。そしてミクロ宇宙においては「1人ひとりを宇宙の中心に置く」ことがイコール、人間中心主義だと定義する。

こうした壮大な考えを社会に実装するのは大変なことでしょう。しかしテクノロジーの進化に伴って商品中心主義でしかありえなかったものがカスタマーセントリックになってきている中、Society5.0においても「1人ひとりを宇宙の中心に置く」カスタマーセントリックを実行に移していくことが求められると思います。

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