LINE MUSIC、「全曲無料でフル再生」の爆発力 大物アーティスト参戦で巣ごもりにもはまる

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成果はあったのか。実際にアプリを使うユーザー数(ユニークユーザー)は、2020年1月から3カ月連続で増えた。また、新規のアプリインストール数は、1月に比べて3月が1.6倍。プロフィールBGMの設定数は同1.5倍。呼出音、着信音設定数とも、同1.6倍となった。サブスクサービスのアピールポイントは、レコメンド機能による音楽との出会いと言われる。だが、他社と異なり、若年層中心のLINEユーザーを呼び込むには、機能面だけでなく、ハードルを下げサービスを体験させることがより重要だったようだ。

独自のフリーミアムをきっかけに、1月に入会したユーザーは4月に3カ月間の無料体験を終えたが、順調に有料会員へ移行している。ライトユーザーゆえに大量の離脱も予想されたが、友人の紹介や広告を経由して入会するユーザーと、無料期間から有料会員へ移行する割合は、さほど変わらなかったという。2020年1~3月のLINE MUSICの決済高は前年同期比40.5%増の35億円。4~6月期はさらなる伸びが期待される。

3月は休校や在宅勤務などで8~18時までの再生回数が増加。その他の時間帯でも総じて2月より再生回数は多い(出所:LINE MUSIC)

足元の自粛期間でも、サブスクは大いに活用されているようだ。現在人気なのは、三代目J SOUL BROTHERSのボーカル・今市隆二さん選曲のプレイリスト『#STAYHOME Music』や、女性シンガーソングライター・MACOさん選曲の『STAY HOME WITH MUSIC』など。そのほか『お家でフェス気分!J-POPライブ音源集』も人気で、ユーザーが自粛しつつ、自宅で音楽を楽しむ姿が浮かび上がる。

また、休校や自宅勤務が増えたことなどから、実は日中の再生回数が大幅に増えている。アーティストにとっても、多くのCDが発売延期となり、ライブ開催の見通しも立たない状況では、ストックで稼げるサブスクは貴重なサービスとも言えそうだ。

LINEのプラットフォームを使いまくる

今後について高橋COOは「LINEニュースと連携し、音楽関係の記事で楽曲を聴いてもらうなど、LINEの中でさらに存在感を出していきたい。興味がない人でも聴いてもらえるように、音楽を日常に近づけていきたい。以前の着うたみたいなムーブメントも起こしたいと思っている」と力を込めて語る。詳細は明かしていないが、新機能の投入も準備中のようだ。

若年層のライトユーザーの開拓は、ソニーやエイベックスと組んでLINE MUSICを設立した当時からのテーマで、自ら背負った使命と言っていい。同時にそれは音楽業界最大の課題でもある。「音楽に関心がない」「無料で聴くことが当然」という若年層をサブスクに取り込み、業界の再成長を牽引できるか。試行錯誤はこれからも続きそうだ。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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