安倍首相はなぜ、「言い間違い」を連発するのか 問われるトップリーダーとしての結果責任

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医療現場の逼迫については、安倍首相は「東京が」を繰り返した。「小池都知事の独自路線への牽制」(自民若手)ともみえる。宣言解除について、首相側近の西村コロナ担当相が「総合的に判断」と繰り返すのも、「決断の怪しさを問われた際の逃げ口上」(同)と勘繰る声が相次ぐ。

安倍首相は大型連休最後の6日夜、生中継のインターネット動画番組に出演。京都大学の山中伸弥教授とともに質疑に応じ、「14日を目途に宣言解除に向けた判断基準を示す」などと踏み込んだ。加藤勝信厚労相は、PCR検査が進まない原因となっていた「37.5度以上が4日間続くこと」などの受診目安について「見直しを進める」と軌道修正した。

大阪府知事に世論の高い支持

こうした安倍首相らの反応は、広がる政府批判に焦ったパフォーマンスとみる向きが多い。5月6日の世論調査で「コロナ対策で最も評価する政治家」は、吉村府知事が安倍首相の5倍以上の支持を得ている。このため「政府と地方のワンチーム対応が求められるのに、政府が分断を加速させている」(閣僚経験者)との批判も広がる。

これまでの安倍首相のコロナ会見には、「説明不足」「言葉に力がない」などの不評と不満が付きまとってきた。新たな期限となった5月31日までに想定される会見は「常識的にはあと2回」(政府筋)とみられ、首相の周辺から「次からは会見の方法を見直したらどうか」との声も出る。「メモなど見ないで、自ら絞り出した言葉で訴える」ことへの期待だ。

再登板以来、安倍首相がことあるごとに口にしてきたのは「政治は結果責任」だ。首尾よく6月からの宣言解除に踏み出すことができるか、それとも長期戦の泥沼が続くのか。自ら定めた5月末の記者会見では、コミュニケーション力も含めてトップリーダーの「結果責任」が厳しく問われることになる。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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