今のままではトランプが負けるこれだけの理由 コロナで劣勢の陣営に「逆転策」はあるのか

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個人的には、そんな見え透いた茶番でどれだけ大統領選で浮動票を獲得できるか疑問である。だが、選挙戦本番を前にして株式市場の見方が2極化するように、コロナへの対処でもアメリカ国内は激しい意見の相違がみられる。

反トランプ知事次々と躍進、ペンシルバニアが不可欠に

それがそのまま大統領選の支持率の色分けになっているが、今の段階では、トランプ大統領の再選の可能性は5割未満だろう。最大の理由は、コロナによって、「接戦州」における反トランプ陣営の民主党知事の支持率が、軒並み躍進したことだ。本選においても、知事の影響力は大きい、逆に、接戦州における共和党知事は一部を除き、すこぶる評価が低い。以下はそのサンプルである。

民主党 ギャビン・ニューサム (カリフォルニアCA、 83%)
民主党 アンドリュー・クオモ(ニューヨークNY、79%)
共和党 マイク・デワイン (オハイオOH、 80%)
民主党 トニー・エバース (ウィスコンシンWI、72%)
民主党 トム・ウルフ (ペンシルバニアPA、69%)
民主党 グレッチェン・ホイットマー (ミシガンMI、66%)
民主党 ロイ・クーパー(ノースカロライナNC、62%)
(最下位の2州)
共和党 ダグ・デュシー(アリゾナAZ、52%)
共和党 ロン・デサンティス(フロリダFL、51%)

最大の懸念は、直近のデータ(4日)で、原油相場下落の打撃を受けたペンシルバニア州で、トランプ大統領の支持率が過半数割れまで大きく後退したことだ。4月までは同州でわずかにリードしていたので、今は赤信号である。

筆者は近隣州の状況を意図的に自分の肌感覚で確認するようにしている。自慢するわけではないが、こうした確認作業を積み重ねることによって、前回の2016年では選挙前からヒラリー・クリントン候補の敗北の可能性を一貫して主張してきた。それは「米大統領選『ヒラリーで決まり』は早すぎる」(2016年10月23日配信)など、東洋経済オンラインのこのコラムに書いてきたとおりだ。

その延長線上で行くと、11月の大統領選では、景気後退とコロナの影響、そこに来て民主党知事の躍進によって、トランプ大統領は前回勝利したウィスコンシン州とミシガン州で勝つのは厳しいと観ている。最重要州のフロリダ州は、人気はいま一つでも現職のデサンティス知事はトランプ大統領の側近だ。よってフロリダはなんとか勝つとしても、アリゾナ州とペンシルバニア州を落とすと、トランプ陣営は選挙人の獲得数の再選ラインである270人に届かない。

そんな中、5日にトランプ大統領はアリゾナの集会に行った。もしここでもともとレッドステート(共和党地盤の州)である同州の支持票を固めることができたとしても、やはり最後はペンシルバニア州ということになる。そのためにも、原油価格の回復は必須である。

次回(予定)では、筆者が以前から注目してきた「4thターニング」の理論から見れば、すでに米中対立における出口の「勝者」は見えていることについて触れたい。

滝澤 伯文 CME・CBOTストラテジスト

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たきざわ おさふみ / Osahumi Takizawa

アメリカ・シカゴ在住。1988年日興證券入社後、1993年日興インターナショナルシカゴ、1997年日興インターナショナルNY本社勤務。その後、1999年米国CITIグループNY本社へ転籍。傘下のソロモンスミスバーニーシカゴに転勤。CBOTの会員に復帰。2002年CITI退社後、オコーナー社、FORTIS(現在のABNアムロ)、HFT最大手Knight証券を経て現在はWEDBUSH傘下で、米国の金融市場、ならびに米国の政治動向を日系大手金融機関と大手ヘッジファンドに提供。市場商品での専門は、米国債先物・オプション 米株先物 VIXなど、シカゴの先物市場商品全般。

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