今年もやっぱり「Sell in May」かもしれない 株が上昇するための重要な指標とは何なのか

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ところが今回のコロナショックでは、金融市場ではなくレストランやエンタテインメントなど、サービス業が真っ先に打撃を受ける格好となった。ロックダウンによって人の移動が制限されるという、金ではなく人の問題による危機であることの意味は大きい。

また製造業もサービス業ほどの急速な需要の落ち込みは見られていないが、工場の閉鎖や物流の停滞したことによるサプライチェーン分断の影響は避けられない。何よりもそこで働く従業員の感染対策に費やすコストの大幅な増加は避けられず、経営を圧迫することになる。もちろん金融市場も無傷というわけには行かない。この先打撃を受けた企業の倒産が大幅に増加、貸し倒れや社債市場の信用不安の影響を大きく受けることになるだろう。

アマゾンが4-6月期に赤字に転落する可能性を示したのも、感染対策に伴うコスト増加にとるところが大きいという。アマゾンは巣ごもり消費の盛り上がりの恩恵を受け、それまでロックダウンの状況下での勝ち組と見られていただけに、今回の 「赤字転落の可能性」という警告が市場に与えた心理的な影響は、かなり大きいと見ておいた方が良いのではないか。

「バーチャル市場への需要移転」は、そろそろ一巡か

そもそも今回、巣ごもり特需によってテクノロジー分野を中心に一部の企業が恩恵を受けたのは、ロックダウンの影響でリアル (対面でのサービス) の世界からバーチャル (ネット上でのサービス) の世界にいわば「需要が移転しただけ」であり、需要全体が底上げされたわけではないことを、しっかりと認識しておくべきだ。

ネットフリックスやHulu、ディズニープラスなどの契約者数が増えたのは、映画館や劇場などが閉鎖になったことによる需要が移転しただけだ。また、ビデオ会議システムのズームが注目を集めたのも、会議室などの利用が大幅に落ち込んだことが背景にあることを忘れてはならない。確かにオンラインショッピングは好調なのかもしれないが、もちろんその裏でリアルな店による対面販売が不振を極めている。

ここで重要なのは、こうした需要の移転による巣ごもり特需は、ある程度行き渡ればなくなってしまうこと、そして何よりもリアルの世界で失われた需要が全て移転したわけではなく、結局「社会全体のパイは縮小してしまった」ということだ。4月30日に発表された3月の米個人消費支出は、前月比7.6%という過去最大の落ち込みを記録した。一方で貯蓄率は前月の7.99%から13.14%に大きく上昇、コロナ禍の終息がいつになるのか、先が見えない状況下で人々は消費を控え、貯えを増やしているということだろう。

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