今年もやっぱり「Sell in May」かもしれない

株が上昇するための重要な指標とは何なのか

新型コロナウィルスに関しては、欧米でロックダウンを解除しようとする動きが出てきたほか、ギリアド・サイエンシスの抗ウイルス薬、レムデシビルの有効性が認められ、異例の速さで当局の緊急使用が許可され、さらに早期の正式承認が下りるとの見方が浮上するなど、明るいニュースも出てきてはいる。

だが、治療薬だけでは感染の拡大を止めることはできない。ワクチンの開発にはまだかなりの時間が掛かるとされているし、速すぎるタイミングでのロックダウンの解除は、感染が再拡大するとの懸念をかえって高めることになるのかもしれない。

リアルの落ち込みが、バーチャルの需要を食いつぶす

さらにこの先は、リアル市場の崩壊がバーチャル市場の需要をも食いつぶしてしまうシナリオにも、十分な注意が必要となるはずだ。4月30日に発表された新規失業保険申請件数は383.4万件と、前週からは減少したとはいえ、事前予想を上回る弱気の内容となった。3月半ばにコロナ禍の影響が出てきて以降の累計は、遂に3000万件を超えた。

8日に発表される4月雇用統計では、非農業雇用数が前月から2000万人以上減少すると見られているし、失業率は前月の4.38%から一気に16%にまで跳ね上がるとの予想が出ている。

確かに、政府の景気対策法案によって1人当たり1200ドルの現金給付が行われたことや、失業保険の受給期間が延長されたことで、最悪の状況は避けられたのかもしれない。だが、それでも職を失った人々の経済的な打撃は相当なものとなりそうだ。今後、個人消費はかなりの期間落ち込みが続く恐れが高く、現在好調なWeb関連サービスなどにも、結局はその影響が及ぶのは必至、とみておくべきだ。

感染が本格的に終息に向かい、ロックダウンが解除されていけば、経済活動も回復してくることは間違いなさそうだ。だが、やはり感染が再拡大する可能性が消えないことや、ウイルスの変異によって毒性が高まるリスクも指摘されている中、すぐに以前のように活況を呈することはないだろう。人々の行動パターンは一変してしまっており、レストランが営業を再開しても、すぐには友達と頻繁に会食をしなくなるかもしれないし、パーティーの数もすぐには戻ることはなさそうだ。また、コンサートやイベントの集客も落ちるかもしれないし、テレワークによって大抵の仕事は事足りてしまうことが分かった以上、オフィスに対する需要も低迷が長引くことが必至と思われる。

今回の経済危機が、金の問題ではなく人の問題によってもたらされたものである以上、景気回復のカギを握るのはFRB(米連邦準備制度理事会)による大量の資金供給や流動性の確保ではない。結局は、ロックダウンの解除に伴う人の移動の再開や雇用の回復となるはずだ。

最近の雇用統計は、弱い数字が出るのが当たり前という感じになり、材料視されることも意外に少なくなっていた。だが、8日発表の4月分以降は回復のバロメーターとして、大きな注目を集めることになりそうだ。雇用に本格的な回復の兆しが見えて来ない限りは経済活動の回復もなく、「Sell in May and Go Away」 の状況が、6月以降も続く可能性が高いと見ておくべきではないか。

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