韓国が高3と小学1、2年生を優先登校させる事情

問われる公平性、11月の大学入試日程も考慮

日本よりひと月早い3月に新学期が始まる韓国では、すでに2020年の始業時期が4回延期されている。そのため、学校の現場では5月末に中間試験を、7月末に期末試験を行うことで日程調整していた。登校が5月中旬以降へとさらに延期されれば、中間試験は「授業評価」(内申)で評価せざるをえず、今度は授業評価の公平さと客観性が問われる可能性が高まってしまう。

登校時期が遅れれば遅れるほど、2020年の大学入試で高校3年生が浪人生よりも不利になると思われている点も、高校3年生を優先して登校させる背景となった。「学校生活記録簿」に記載するための学生参加型授業とサークルなどの非教科活動の開始時期が切迫しているので、このまま登校時期が遅れてしまうと、記録簿に記載する内容が不十分なものになってしまうという心配の声も高まっているためだ。

家庭の子育て負担を考慮した

対面授業よりも効果が低いとされるオンライン授業が継続されれば、塾などへの依存度が高まるという点も指摘されている。しかし、新型コロナウイルスの潜伏期が終わっていない状況で登校を強行すれば、「感染する心配よりも入試が重要なのか」という批判もまた起きてくる。

教育省は、幼稚園生と小学校1~2年生を登校の対象に含めたことについて、「オンライン授業に適応しづらく、保護者のアシスト(補助)による教育格差と家庭の子育て負担を考えた」と説明する。

小学校では低学年を中心に緊急的な児童ケアを行っており、高学年から登校を始める場合、児童・生徒らの密集度が急速に増加するという点も考えたと教育省は説明する。デンマークやフィンランド、フランスなども、小学生から登校を再開している。

しかし、防疫当局は小学校低学年が高学年と比べ、防疫に関する規則を守りづらいことを心配している。教育省は「小学校の低学年生は相対的に活動半径が狭く、保護者の保護がしやすい」と説明するが、5月4日の教育省発表に先立って開かれた韓国政府の中央防疫対策本部のブリーフィングで、鄭銀敬(チョン・ウンギョン)本部長は「個人衛生規則やソーシャルディスタンス(社会的距離)を守ることは、高学年生よりも低学年生のほうがより厳しい」と述べている。(韓国「ソウル新聞」2020年5月4日)

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