プーチン、ロシア軍で感染拡大という「大失態」 約3200人の感染が判明、「氷山の一角」なのか

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複数のロシアメディアは、実際には公表された数字以上の大規模な集団感染がロシア軍内部で起きていると推測している。

ラジオ局『モスクワのこだま』は4月17日、「3月20日以降、モスクワ郊外アラビノ地区で実施されてきた5月9日戦勝記念日パレードのリハーサル参加者の間で大規模な集団感染が起こっていることが、状況から推測される。5月のパレード中止の決定が下されたのもそのためだろう」と報じた。

遅すぎたプーチン大統領の決断

プーチン大統領は4月16日、「感染症のピークはまだ先で、今後も高いリスクがある。現在の状況で、パレードやその他の大規模イベントの準備を始めるという権利は私にはない」と述べ、国防省とロシア軍にスケジュールの変更を指示した。

しかし、プーチン大統領の決断は遅すぎた。全国的な感染拡大にもかかわらず、パレードに向けたリハーサルは3月から続けられていた。市民の間で連日数千人の新規感染者が見つかる中、大規模なパレードを開催すればさらなる感染拡大を引き起こすことは容易に想像できた。しかし、方針は見直されることなく、モスクワにはロシア各地から兵士らが集められた。

戦勝記念日まで1カ月を切った4月初旬の時点でも、プーチン政権幹部は「(パレードリハーサルの)問題については国防省に聞いてみないといけない。国防省では民間人に対してのものとはまったく異なる感染拡大防止体制があり、軍は独自の行動ができる」(ペスコフ大統領報道官、4月9日)と明言を避けていた。結果的に、このような延期・中止の判断の遅れが集団感染を招いた。

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