プーチン、ロシア軍で感染拡大という「大失態」 約3200人の感染が判明、「氷山の一角」なのか

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国防省によれば、3月以降、ロシア軍は毎日検査を実施しており、少なくとも3月末時点まで軍内での感染を否定してきた。

ロシア軍の機関紙『クラスナヤ・ズヴェズダ』紙は3月31日、ロシア軍参謀本部組織・動員局長のブルディンスキー大佐が「現時点でロシア軍では、新型コロナウイルス感染は一例も確認されていない」とコメントしたと報じた。4月14日時点でも、国防省は「ロシア軍内の感染状況は完全にコントロールされている」と説明していた(4月21日付『インターファクス通信』)。

戦勝パレードのリハーサルで集団感染

だが、その直後の4月16日、国防省は初めて軍内部での感染の事実を認め、「チュメニ州の工兵養成大学校で勤務する軍人14人と民間人1人が感染した」と発表した。戦勝記念日リハーサル参加者が集団感染していたことをSNSメディアがすっぱ抜いたことがきっかけだった。

SNS『テレグラムチャンネル』のメディアBazaによれば、4月14日にサンクトペテルブルクにあるナヒモフ海軍幼年学校で生徒と教員計49人の感染が確認された。同校の生徒は3月20日にモスクワに到着し、モスクワ郊外で複数回にわたってパレードのリハーサルに参加している。

感染者49人と接触した155人に対しても医療観察が実施されており、その直後の4月16日に、プーチン大統領は5月9日に予定されていた戦勝記念日パレードの延期を決断した。大統領は、「功労軍人団体からの要請(4月15日付)を踏まえてのものだ」と説明している。

この延期決定を受けて国防省はリハーサル参加者を各地の所属部隊に戻し、2週間の隔離観察を始めた。

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