50代は「住宅ローン完済」でも老後破綻の危機

マイホームは恐ろしい「金食い虫」になる

Bさんの場合、ローン完済した持ち家は戸建てのため、固定費は毎年の固定資産税のみで済みますが、今後、数十万円あるいは数百万円単位で維持費がかかる可能性もあります。一生住み続けると想定して算出したところ、リフォームのほかに屋根の張り替えや壁の塗り替えを含めて優に1000万円を超えることがわかりました。

Bさんの暮らす地域は電車の本数が1時間に2本と少ないので、マイカーは必須。子どもたちはまもなく独立し、交通の便がいい県内の別の場所で暮らすそうで、将来戻ってくるかはわかりません。Bさん自身の公的年金は64歳から特別支給の老齢厚生年金が月約9万円あり、65歳からは国民年金と厚生年金、加給年金で月19万5000円、68歳になると夫婦で月22万円となります。

「とくに旅行などはせずに家で快適に暮らしたい」と言うBさん、老後の生活費は月24万円と見積もりました。老後資金=退職金と考えていたので、リフォームを含めた住居費1000万円を差し引いて1800万円を生活費に回せます。仮にBさんが90歳まで夫婦で生活した場合、公的年金以外に1542万円かかります。マイカーの買い替えなどを含めるとほぼ使い切る形になるでしょう。キャッシュフロー表を前に、Bさんは神妙な面持ちでした。

マンションは保有するだけで「金食い虫」になる

ここまでAさん、Bさんの2つのケースを紹介しましたが、Aさんのようにマンションに住む場合、毎月かかる管理費や修繕積立金などの固定費を自分で調整することはできません。毎月6万円かかるとすれば、仮に60歳から90歳まで30年間を暮らすと総額2160万円にもなります。

バブル期のように、マンションを保有しているだけで価値が上がるのは一部のエリアに限られます。ひと昔前にいわれたような「持ち家=資産」ではなく、所有しているだけで手持ち資金を減らす厄介な金食い虫(負債)と自覚する必要があります。ランニングコストが高いマンションには注意が必要です。

一方、Bさんのように戸建てに暮らす場合も維持費は必要になりますが、マンションのように毎月、強制的に徴収されることはありません。屋根の修繕や壁の塗り替えなどのメンテナンスは家計の状況で柔軟に対応できるからです。極端なことをいえば、雨風をしのぐことができればよいという気構えでいれば、固定資産税のランニングコストで済ますこともできるのです。

次ページただし、その戸建てが終の住処になるとは限らない
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