新車販売が3割減!工場休止「長期化」の現実味 新型コロナが大打撃、5月はさらに悪化へ

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ホンダの4月の新車販売は新型フィットの納車が下支えしたが、足元の商談件数は前年よりも大幅に減っている(編集部撮影)※写真と本文に直接の関係はありません

ホンダの4月の新車販売は前年同月比19.5%減と乗用車メーカー8社の中では減少幅が一番小さかった。2月中旬にフルモデルチェンジした主力車種「フィット」の引き渡し台数が多く、全体の販売を下支えした。しかし、販売店からは厳しい実情が聞こえてくる。

「とにかくお客さんが店に来てくれない。4月の商談件数は例年の半分以下。とても新車を売るような雰囲気じゃない」(神奈川県内のホンダ系販売店店長)。この店では少しでも販売台数を増やそうと、営業担当者が既存客に電話で新車への買い換えを打診しているが、「こんな時に新車の提案なんてしてこないでくれ」と叱られることも多いという。

2月に発売されたホンダの人気車種「新型フィット」。大量のテレビC Mも展開して販売に力を入れたが、新型コロナの影響で出鼻をくじかれた(撮影:大澤 誠)

頼みの綱の「フィット」もコロナの災禍を被っている。本来であれば、新型車発売直後は販売台数が大きく伸びる時期だ。しかし、コロナ騒動で消費者の購入意欲がそがれたうえ、部品メーカーで感染者が出るなどした影響で、フィットを製造する鈴鹿製作所(三重県)での生産が一時停止。最量販車の軽乗用車「N-BOX」も含め、納車時期に遅れが出ているのも痛手だ。

前出の店長は十数人いる店の従業員の雇用にも不安を感じている。「今のような社会状況では、どのくらいで販売が回復するのか見当もつかない。こんな状況があと何カ月も続けば、従業員を減らすといった話が上から降りてくるかもしれない」。

国内シェア3割を有するトヨタ自動車も4月の新車販売台数は2割減った。相対的に見れば業界の中では健闘と言えるが、それでも2割減れば販売店の経営は厳しい。首都圏のトヨタ系販売会社の社長によると、コロナ問題で景気悪化が深刻化する中で、「お客さんも今後の収入に不安を感じていて、契約のキャンセルや納車先延ばしの依頼が出始めている」という。

5月の販売台数は前年の半減も

ブランドを問わず、新車販売の現場から聞こえてくる悲鳴。しかし、月次の販売台数において、本当の意味でコロナショックの影響が出るのは5月以降である。

というのも、一般的に新車の受注から納車までには1カ月程度かかり、4月の販売(納車)台数には3月に受注した車が多く含まれているからだ。ある日産の販売店では、4月の受注台数が例年の4割程度にまで減ったという。ほかのブランドも緊急事態宣言後の新規受注が相当に落ち込んでおり、その数字が反映される5月の業界全体の新車販売台数は、前年同月比で半減する可能性もある。

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