ANA「かろうじて営業黒字」後に待ち受ける多難

主力の国際線、LCC戦略の見直しは不可避に

大幅な減収減益は避けられないものの、急務となっていた資金繰り対策には進展が見られた。

まず、4月に民間の金融機関から1000億円を借り入れた。既にある1500億円のコミットメントライン契約も、3500億円を追加して合計5000億円へ拡大。これらに加えて、日本政策投資銀行から3500億円の危機対応融資を「間もなく」(福澤常務)受けられる見込みが立ったという。

資金繰りにメドは立ったが…

ANAは2020年3月末時点で、現預金と有価証券を合わせた手元資金を2386億円保有している。前出の資金繰り対策がすべて実現すれば9500億円を確保できることになり、ANAはひとまず1兆2000億円近い資金を用意できることになる。

これが何カ月分の運転資金に相当するか明言しなかったものの、福澤常務は決算会見で「当面の間、資金繰りについてはまったく問題ないと考えてほしい」と強調した。

ひとまず「延命」の見込みが立ったANAだが、新型コロナウイルスの感染拡大を機に、中・長期的な成長戦略の見直しを迫られている。

近年、ANAが成長分野と考えてきたのは国際線旅客事業だ。競合する日本航空が2010年の経営破綻により路線拡大を制限されてから、ANAは羽田と成田という2大首都圏空港をフル活用し、国際線の路線網を一気に拡大してきた。

その結果、2014年3月期に3953億円だった国際線旅客事業の売上高は2019年3月期に6515億円まで成長。さらに、2021年3月期は新たに配分された羽田空港の発着枠を活用し、国際線の運航規模を2018年3月期比で35%増やす計画を立てていた。

次ページ国際線戦略は見直し必至に
ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 不安な時代、不機嫌な人々
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • フランスから日本を語る
  • iPhoneの裏技
トレンドライブラリーAD
人気の動画
東芝、会社「3分割」に残る懸念
東芝、会社「3分割」に残る懸念
節約志向で「安い食品ばかり買う」人の重大盲点
節約志向で「安い食品ばかり買う」人の重大盲点
百貨店の最終兵器「外商ビジネス」が抱える難題
百貨店の最終兵器「外商ビジネス」が抱える難題
EVの切り札?夢の「全固体電池」は何がスゴいのか
EVの切り札?夢の「全固体電池」は何がスゴいのか
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
「非財務」で生きる会社、死ぬ<br>会社 企業価値の新常識

今や株価を決める最大の要因は「非財務情報」というのが世界の常識に。優れた開示を行えば企業価値の向上につながる一方で、開示が不十分だと株を売られるリスクも。企業価値の新常識をめぐる混乱とその対処法に迫りました。

東洋経済education×ICT