【産業天気図・自動車】新興国需要で10年4月から「雨」に一段回復も、本格回復は道半ば

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 大型車や高級車のような付加価値の高い車種の輸出不振が長期化し、完成車工場の国内稼働率は今も7割程度で低迷したまま。この低稼働の状態は、部品メーカーの業績や中期展望を大きく左右している。すでに曙ブレーキ工業<7238>、ケーヒン<7251>、小糸製作所<、市光工業<7244>、ヨロズ<7294>などが内外生産拠点の休止を決めたのに加え、ショーワ<7274>、日信工業<7230>、ミツバ<7280>なども09年4~9月期決算発表の場で国内生産拠点再編を発表。カルソニックカンセイ<7248>は再編策を追加した。温存されてきた過剰生産能力がいよいよ本格的に整理され始めている。

また部品業界では特定の完成車メーカーに依存する企業と、激しい価格競争の中を生き抜いてきた独立系とでは業績の様相が違う。独立系の代表としてはNOK<7240>やタカタ<7312>、ニフコ<7988>など幅広い取引先を持つ企業が強烈な人件費の圧縮や経費削減で着実に業績改善。凍結していた工場建設を再開し始めた企業もある。

系列メーカーでは価格競争力をもち、海外生産にも対応できる体力のある企業だけが完成車メーカーの新興国展開に足並みをそろえられ、追随できない部品メーカーはさらに受注が減っていく展開が予想される。過去数年間の好況で、辛うじて延命していた中小の上場部品会社も多く、景気悪化が長引けば、経営問題が再燃する可能性も高い。部品メーカーにとっては来10年が企業成長の岐路となりそうだ。
(高橋 由里、松浦 大)

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