「コロナ倒産」本格化、追い込まれたホテル業界 投資にのめり込んだ不動産会社に波及も

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需要が冷え込んでも、インバウンド需要や東京五輪特需を当て込んだホテルの新規供給は止まらない。厚生労働省によれば、ホテルや旅館、簡易宿所といった宿泊施設数は、2013年度の7万9519から2018年度には8万5617へと増加。市場の需給バランスは著しく緩んだ。

冷え込む需要と止まらぬ供給。「以前は各店舗の稼働率は9割超だったが、足元では8割5分」。昨年7月、記者の取材に対してファーストキャビンの幹部はこう答えていた。限られた客をホテル同士が奪い合い、稼働率を維持するために宿泊単価を削るダンピング合戦の様相を呈した(2019年11月13日配信「過剰供給のツケ、『関西ホテルバブル』に変調」)。

大阪市内に本社を構えるWBF自身も、競争に巻き込まれたホテル会社の一つだ。市内で運営する「WBF淀屋橋南」について、WBFは「ホテル同士の競争が激しく、思ったほど収益が上がらないため撤退したい」と、ホテルを保有する投資法人みらいに対して通達。契約はまだ長期間残っていたが、違約金を払ってでも解約を進めたい意向だった。

不動産業界にも飛び火

ホテル業界には日々、不穏なニュースが飛び込む。東京商工リサーチによれば、今年2月から4月27日までの間で、宿泊業の倒産は21件を数えた。さらに3月から4月にかけて、上場するほとんどのホテル運営会社が業績予想の下方修正を発表するなど、まさに総崩れだ。営業再開の見通しが立たないため、業績予想を「未定」とした企業も多く、日銭商売であるホテルの資金繰り不安は日増しに高まる。

外出自粛が長引けば、影響はホテル業界の外へと飛び火していく。筆頭は、ホテル運営会社から賃料を得ている不動産会社だろう。WBFの倒産を受けて、同社が運営する「ホテルWBFアートステイなんば」を保有するスターアジア不動産投資法人は、「今後の方策を検討する」とリリースを発表した。中堅デベロッパーのタカラレーベンに至っては、今年2月に京都市内で「ホテルWBF五条堀川」を開業させたばかりだ。今後の運営方針について、同社はコメントを避けた。

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