――つまり、3月末時点ではすべてを支える対応で問題ないと。
それしかないと思う。今の時点で時間をかけて選別していては、本来だったら潰してはいけないところまで潰れて、後手後手に回ってしまう。それはまずい。
――資金繰り支援には融資も必要ですが、日本政策金融公庫(日本公庫)や信用保証協会に申し込みが殺到し、融資の実行までに時間がかかっています。
各金融機関は特別融資商品を提供している。通常より金利も低いし、審査も短いが、借り手はどうしても無利子・無担保で借りられる日本公庫に行ってしまう。
そこでまず、日本公庫と民間金融機関の協力関係を作った。日本公庫の窓口は逼迫しているので、民間金融機関に来てもらい、書類を整えて、日本公庫に渡す。今はさらにもう一つレベルを上げて、民間金融機関がつなぎ融資をして、あとから日本公庫に借り換えるという仕組みを作っている。
今後、民間金融機関が使える無利子無担保融資が実現するが、融資が実際に行われるまでには若干時間がかかる。近い将来には、民間銀行が実行したつなぎ融資を自らが提供する無利子・無担保融資に切り替えるということもできる。
今、儲けようという話はありえない
――しかし、民間の銀行からは「つなぎ融資は金利が低く、事務コストばかりかかって儲からない」という声も聞こえてきます。
この局面で、儲けようという話はありえない。今は地域企業、経済を支え、新型コロナウイルスを乗り切る。地域企業や経済が復活すれば、地元の金融機関も将来の安定的な収益を確保できる。平時のようにどう儲けるかという話ではないと思う。
そもそも、「儲かる」という意識が先に出たら儲からないですよ。地域の企業や経済を活性化して初めて金融機関に安定的な収益が入る。そういう循環を作るべきだ。
これまで地域金融機関と対話をしてきて、彼らもそれをわかったうえで(融資を)実行すると言っている。今回は、それが短期間に凝縮してやって来てしまっただけ。やるべき方向性は変わっていない。
――金融機関によって取引先の規模も異なります。危機モードにおけるそれぞれの金融機関の役割をどう考えていますか。
普段のメイン先を中心として、漏れのないように対応しなければならない。
例えば信用金庫や信用組合では融資をつけるだけでなくて、昼食はすべてそのお店でとるとか、顧客同士を結びつけて顧客の製品を売るという取り組みをしているところがある。顧客と同じ側に立ってサポートしようとしているのが伝わってくる。金融機関のサイズによって顧客企業のサイズも異なるし、それに合わせた対応がある。
金融機関同士の連携も必要だ。例えば京都では、ある銀行に顧客が偏ったときに、他の金融機関が連携して助けるということをやっている。先ほど言ったように、今は個別に儲けを競っている場合じゃない。業態を超えて連携して、地域を支える局面だ。
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