ドローン、「学校」乱立であらわになった弊害 受講生と企業との間に深刻なミスマッチ

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ドローンを積極的に活用したい企業からは、操縦士が不足しているという声もあがる。ドローンスクールが急増しているのにもかかわらず、操縦士が不足しているのは、ドローンスクールが育てる人材と企業が求める人材の間にギャップがあるからだ。

「企業が求めるのは、より正確に安くデータをとることだ。ドローンはそのための道具にすぎず、他の手段がある場合もある」(春原氏)。ドローン操縦士に求められるのは、安全にドローンを飛ばすことだけではなく、ドローンを活用したソリューションの提供に役立つことだ。

そのためには、飛行計画や機体トラブル時の対応に加え、用途に合わせた専門知識も必要だ。例えば、インフラ点検にドローンを使う場合、カメラなどを使って正確にデータを取る能力や、取得したデータをレポートにまとめる能力が求められる。

「操縦ライセンス制度」もスタート

一方、多くのドローンスクールは基本的な飛行訓練に終始しており、ドローンを使ったサービスを提供している企業の関係者は「ドローンスクールの出身者にそのまま仕事を依頼することはできない。自社で実用的なOJTを行い、ドローンの操縦士を育成している」と話す。

国交省は2022年に、学科や実技試験によって操縦者の技能を審査する「操縦ライセンス制度」を自動車免許のような国家資格として創設する予定だ。それと同時に民間の講習団体に対して厳格な指導監督を行うことも検討している。だが、用途ごとに必要とされる能力が異なるのに、どの程度まで資格の対象を細分化するのかは今後の検討課題だ。

ドローンは今後、本格的に実際の運用の段階に入っていく。ドローンの自動航行技術の普及も期待されているが、操縦できる人材は不可欠だと見られている。市場で求められる人材の育成に向けて、ドローンスクールのあり方が変わっていく必要がありそうだ。

田中 理瑛 東洋経済 記者

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たなか りえ / Rie Tanaka

北海道生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。ゲーム・玩具、コンテンツ、コンサル業界を担当。以前の担当は工作機械・産業用ロボット、医療機器、食品など。趣味は東洋武術。

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