マイクロソフト「ゼロ円ウィンドウズ」の衝撃 ウィンドウズの無償化でスマホの勢力図は変わるか
もうひとつの柱は、9インチ以下のタブレットとスマートフォン、あるいは「モノのインターネット(IoT)」に組み込むウィンドウズを無償化するライセンス戦略の転換だ。
小型機器向けの基本ソフトについてはソフトウェアの販売で収益を上げるのではなく、無償で配布することで、自社が提供するサービスとの連動性を高め、サービスの加入料を増やすことで収益を上げることを目指す。
ウィンドウズが組み込まれた機器を増やすことによって、プラットフォームとしての価値を高めるのが狙いだが、もうひとつ狙いがある。「ゼロ円ウィンドウズ」には加入型サービスであるオフィス365が1年間無償でバンドルされ、1年以上継続利用する場合には有償となる仕掛けが導入される。
また、ウィンドウズ自身に価値のある分野はその限りではなく、9インチ以上の画面を持つパソコン向けには、従来通りのライセンス収入を中心としたビジネスモデルを維持する。
サービス基盤強化を目指す
マイクロソフトはパソコン分野での強みを生かしつつ、スマートフォン、タブレットといった分野では、ライセンス無償化などでウィンドウズの世界を広げ、サービス基盤としての強化を図っていく。
ウィンドウズフォーンはパソコンと同様の、管理者による機能制限やアプリの自動配布なども可能になるため、パソコン、タブレット、スマートフォンを統合的に扱うシステムを構築したい企業ユーザーには受け入れやすい製品になるはずだ。グーグルのアンドロイドにとっては強敵になるだろう。
ただし、日本では事情は異なる。米国などでは、企業が好んで採用していたブラックベリーを代替する端末としてウィンドウズフォーンが普及しつつあるのだが、日本では現時点で販売されていない。一方でユニバーサル・ウィンドウズ・アプリによって、いつでもスマートフォンとパソコンの領域をつなげられる環境は整っているため、いずれ発売されるであろう日を想定し、準備を進めることは可能だ。
2月4日のCEO就任以来、「モバイル第一、クラウド第一」というコンセプトを繰り返してきたナデラCEO。新戦略はその方針が事業の方向性をどのように変えていくかを示した。ここ数年のマイクロソフトは、パソコンを巡る事業環境の急速な変化に進む方向が定まっていない印象を受けていたが、明確なビジョンが見えてきたことで日本法人の動きにも変化が出てくることは間違いない。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら