20代社員が絶対知っておくべき「借金72の法則」 お金と仲良くなるには「複利」の知識が必要だ

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以下は「金融リテラシー調査」で実際に使われた「複利」に関する設問です。答えられますか?

Q:10万円の借り入れがあり、借入金利は複利で年率20%です。返済をしないと、この金利では、何年で残高は2倍になるでしょうか?
① 2年未満
② 2年以上5年未満
③ 5年以上10年未満
④ 10年以上
⑤ わからない

正解は②です。「72を金利で割るとお金が2倍になる期間がわかる」という「72の法則」を使えば、3.6年と簡単に答えが出ます。私と同じバブル世代の方々なら、預金が何年で倍になるかを計算していた高金利時代を思い出されるでしょう。今や「増やす側」の計算では使うことのなくなったこの計算式も、「借りる側」では現役です。年率14%とか18%といったビックリするような高い金利がカードローンの金利として提示されています。

正答できた人が昨年の調査でどれくらいだったかというと、全世代で40.6%にとどまりました。2番目に多かった回答が⑤の「わからない」でした。38.1%と4割近い方が「わからない」と答えたのです。考えてみたけどわからなかったのか、「複利」が出てきただけで思考回路がフリーズしたのか、わかりませんが、「借り入れ」によって自らが背負う負担や重さが認識できていない方が相当数いるということに不安を感じました。

「1番売れている金融商品」は買ってはいけない

これと同じ調査で、「若年社会人」の中でも「金融教育を受けた若年社会人」は近視眼的バイアスが強いという残念な結果も出ています。目先の資金繰りを重視する余り、将来背負う負担を軽視してしまうリスクを強く感じます。『金欠20代社会人が「借金地獄」から身を守る方法』で書いたように、20代の社会人が多額の借金を背負ってしまうと、将来的な経済格差につながります。「消費者金融」「カードローン」には近寄らずに済むよう、稼ぐ範囲で暮らす癖をつけてほしいと思います。

もう1つ、資産防衛のために、若い皆さんが金融商品を購入する際に心がけていただきたいのは、「ランキングで決めるのではなく、自分で比較して決める」ということです。日本人は「横並び行動バイアスが強く」、類似する商品が複数あるとき、自分が「いい」と思ったものよりも、「これが1番売れています」と勧められたものを買うことが多いそうです。「若年社会人」はとくに「横並び行動バイアスが強い」ようですから、要注意です。

1番売れている金融商品は、金融機関にとって実入りのいい、売りたい商品を積極的に売った結果かもしれません。類似する商品があるのであれば、その手数料や金利を比較すれば相場がわかり、自分にとって得をする、賢い選択をすることができます。「最低限身に付けるべき金融リテラシー」は、家計管理や生活設計など幅広い分野があるのですが、資産防衛のために「複利」の知識と「商品比較」の癖を若い皆さんには身に付けてほしいと思います。

 
大江 加代 確定拠出年金アナリスト

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おおえ かよ / Kayo Oe

大手証券会社に22年勤務、サラリーマンの資産形成にかかわる仕事に一貫して従事。退社後、夫の経済コラムニストである大江英樹氏(株式会社 オフィス・リベルタス 代表)を妻として支える一方、確定拠出年金の専門家としてNPO確定拠出年金教育協会 理事、企業年金連合会 調査役として活動。野菜ソムリエの資格も持つ。

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