ジブリが結んだディズニーとニコニコの縁 ディズニーとニコニコが組むと、こうなった(2)

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――ディズニーの社内で反対はなかったんですか?

塚越 抵抗はありました。何十年も、このビジネスやっているわけだから、そんなことしていいのか、どうなってしまうのか、そりゃあ喧々諤々ですよ。これ、着想から2~3年かかったんですね。

川上 でも、もともと米国のディズニー本社にそういう考え方があったというのが大きいですよね。コンテンツ業界の人って、ITで新しいことに対してストラテジーを持つのは、やはり難しいわけですよ。そういうのが持てたというのは、頭のいい人たちがいる会社なんだな、ということを僕は思いましたね。

塚越 フォローしたね。この後どうなっていくのかといったら、おのずとそこに行く。それを率先してやるかどうかですよ。あとはパートナーもいる。あと実は、一つの作品を買えば、DVDもブルーレイもデジタルコピーも全部一緒に楽しめるというのは、世界中のディズニーグループでもまだ日本でしかやってないんです。デジタルコピーを付けても、DVDとブルーレイは別々にあったりとか。だから、海外のディズニーグループ企業も興味を持って見ていますよ。

作品が一番大事だ

――ディズニーは「作品至上主義」を強調されています。

塚越 今の僕のスタンスです。作品が一番大事なもの。それで、これをどこで見てもらう、またはどうやって見てもらう、というのを考える。それは僕らだけでできないから、いわゆる専門家と組まざるをえない。僕らにすれば、とにかくいい作品を作って、それを伝えていることですから、そこのリーダーシップは取っていこうと。

ともすると、フォーマットとか価格とか、いろんなところでコントロールしようとするマーケティングの考え方もあるわけじゃないですか。スタジオによっていろんな方針がありますよね。僕らは、持っている作品を軸にしたモノの考え方を持ち、消費者のみなさんに「この作品はこうだからいいんだよね」というところに特化していく。それを、技術などいろんな面で、そのパートナーの皆さんに教えてもらいながら、広げていくというのは、役割分担として一番いいんじゃないかと。そういう意味で、僕らの軸足は作品にあります。

――コンテンツ屋としては、コンテンツがいちばん大事だと。

塚越 僕らは間違いなくデバイス作ったりはしない。YouTubeみたいな会社を買ったりもしない。まあYouTubeデカすぎるけど(笑)。

川上 買えるんだったら買っちゃうんじゃないですか。

塚越 全部統合して買ってしまうビジネスモデルはないと思うんですよ。オープンシェアのビジネスという形ですが、得意分野を持つところが組んでいくというやり方じゃないかなと思っているんですよね。

川上 正しいと思っているんですよね。ディズニーさんみたいな大手だから、正しい動きが出来る。

塚越 僕らがまだ出来てないことはたくさんあるんですよ。川上さんに指摘されていることで。でも、たぶんディズニーは変わってくると思います。

(第3回は4月9日に配信します)

武政 秀明
たけまさ ひであき / Hideaki Takemasa

1998年関西大学総合情報学部卒。国産大手自動車系ディーラーのセールスマン、新聞記者を経て、2005年東洋経済新報社に入社。2010年4月から東洋経済オンライン編集部。東洋経済オンライン副編集長を経て、2018年12月から東洋経済オンライン編集長。2020年5月、過去最高となる月間3億0457万PVを記録。2020年10月から2023年3月まで東洋経済オンライン編集部長。趣味はランニング。フルマラソンのベストタイムは2時間49分11秒(2012年勝田全国マラソン)。

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