「副社長職廃止」の背景に「ポスト豊田章男」問題 コロナ禍後に経済を牽引する自動車産業の顔

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豊田章男氏のリーダーシップが試されている(撮影:風間仁一郎)
「いま、私がやらなければいけないのは何よりもトヨタらしさを取り戻すことです」
2020年4月に副社長職廃止に踏み切ったトヨタ自動車の豊田章男社長はこう語った。トヨタとしても前例なき組織改革だ。新体制はコロナウイルス危機にどう立ち向かうのか。新刊『豊田章男』を上梓した、片山修氏がその意図や背景を読み解く。

副社長が「番頭」に

「これは、どういうことですか」

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トヨタ自動車のキーマン、小林耕士氏が記者に手渡した名刺の肩書には、「番頭」とあった。記者が戸惑うのは当然だ。

トヨタは4月1日、副社長職を廃止し、執行役員に一本化した。旧副社長を含めて執行役員は21人となった。むろん、トヨタが副社長職を廃止するのは、初めてである。

狙いは、経営チームのフラット化とスピード化だ。執行役員はすべて同格とし、これまでの副社長は「チーフオフィサー」とし、それ以外の執行役員は、「カンパニープレジデント」「地域CEO(最高経営責任者)」などの名称のもとに、各機能を担当する。執行役員は、1つの機能ではなく、2つ以上の責任範囲を持つという。

いってみれば、経営チームの「文鎮化」である。

小林氏の場合、CFO(最高財務責任者)は外れ、取締役・執行役員に加えて、2018年から務める「チーフリスクオフィサー」が正式な肩書となる。

「名刺の英語表記は、ちゃんと『チーフリスクオフィサー』になっています」

と、小林は言う。

次ページ「番頭」は「副社長」以上の重責を担うことになる
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