「兄・経営者、弟・医学博士」新浪兄弟のDNA 一番手ではないからこそ新しいことをする
剛史:すごい人というのはいくらでもいるからな。経営の世界でも、ローソンの前にいた三菱商事のときからいろんな人たちを見てきていたし、一般の人にもよく知られている三木谷浩史さんや孫正義さんたちにしても、実業家としてすごいと思う。
事業というのは長期にわたって繁栄しないといけないから、ずっと変化を続けていく必要があるし、常に何かを求めて、リスクがあってもチャレンジしていかなければならない。それをやっている人たちを見ているからこそ、自分はまだまだだというのもよくわかる。
医者の世界は狭い
博士:そういう意味で言えば、僕たち医者、特に外科医の世界は狭い気がする。経営者のようにいろいろ考えていくというより技術者だから、アイデアが求められるような場面は少ないからね。付き合っている人間もそれほどいないし、そういう中での競争を意識していても仕方がないというのもあって、最近は海外に目を向けるようになってきた。
たとえばタイには、60歳くらいの人で年間200~300例くらいの手術をしている人がいて、今でもできるだけ小さな傷で手術をしようと心がけている。そういう人を見ればものすごく刺激になる。
冠動脈バイパス手術の分野で世界のトップといえる存在としては、オックスフォード大学のデビッド・タガート教授がいるんだけど、その人と温泉に浸かりながら一日中いろんな話をする機会をもてたのがよかった。この教授は「いまは内科がアグレッシブになっているけど、心臓外科のフィールドを侵食されてはいけない」というふうに言っていて、いろいろ感じるところはあったね。