従業員のミッションを明確化し、その達成度に応じてその人の強み・弱みを認識し、本人にフィードバックする。そうすることで、その人が将来、どんなことをやりたいかなどを含めて、国籍や文化の異なる従業員とも中長期的な目線ですり合わせができる。また、これがリテンション(従業員の定着)にも役立ち始めているそうだ。
そのうえで、伊達氏が感じた東南アジアで事業を行うための教訓が3つあるという。ひとつは、現地企業との意思決定に丁寧に時間を使うことの大切さ。そうすることで、サービスをローカライズさせるための重要な気づきが得られるという。
2つめは、リソースが限定的な中で、何をどこまでやるべきかを絞れるかが成長スピードを決めるということ。リクルート本体のような大企業ならば、その資本力と組織力で、効果的と思われる改善策をすべてパラレルに行うことができるが、同社が参画する東南アジアの企業はいずれもベンチャー、そうはいかない。やらなくていいことを決め、やるべきことを絞ることが重要だという。
フィリピンTravelBook.phでは営業チームがホテルと契約して在庫情報を収集するのだが、一般的には競合サイトを超えるホテルの掲載件数を狙うところだが、そうはしない。「3:7の法則」で、全体の70%の成約をもたらす30%のホテルを見つけ、そこに絞って営業をかけているという。
教訓の3つめは、日本で成功した体験が、そのまま東南アジアにおける成功につながるのは難しいということ。サービス改善のヒントは現地にあるのであり、その国に最適化させるために、自らの成功体験に固執せず、柔軟に変化していく姿勢が必要と話す。
たとえば、インドネシア PegiPegiの集客施策でリスティング広告を実施する際、通常ならば検索結果表示ページでいちばん上に広告が表示されるよう予算を投下するところを、トライアルを行った結果、運用順位を1位に固執せず運用することで、費用対効果が大きく改善することがわかった。
東南アジアでは、これからも成長率にこだわって事業を運営していくという。日本のような先進国では爆発的な急成長というのは難しいが、「東南アジアでは、インターネットサービス企業が年400%成長を3年間続けられることも可能な状況」(伊達氏)。ASEAN全域6億人というマーケットで、20年後の巨大な利益を見据えて、これからも各事業を伸ばしていく考えだ。
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