堀江貴文「"複雑に考えたがる人"は逃げている」 シンプルに考えるには「能力」が必要だ
はっきりと明暗が分かれるのは、「会社にとって最も大切なことは?」という質問だ。こう聞かれたとき、「社会に貢献すること」とか「従業員を幸せにすること」とか「顧客の満足」というトンチンカンな答えをしてしまう経営者には、物事をシンプルに考えようとする「覚悟」がないなとぼくは感じる。
「社会貢献や従業員満足なんてバカらしい」という話がしたいわけではない。考えればわかることだが、株式会社の本来の目的は「株主へ利益を還元すること」である。それ以上でも以下でもない。
そのために、よいサービスや商品をつくって売る。それで顧客は満足する。そうなれば、納税額も増えるし、投資マネーも集まって、経済が活性化される。こうして結果的に、社会貢献が実現される。これが正しい順序というものだ。
このシンプルな原点すら見失っている社長が多い。そのせいで、ムダに複雑に考えてしまい、時間を浪費してしまう。ビジネスの最前線では、いつもスピードが命である。シンプルに本質をおさえた思考ができない人は、いつも「時間の勝負」で敗北することになる。
「トレードオフ」がわからない人たち
個人についても、まったく同じことが言える。
「好きな仕事に思いっきり打ち込みたい。でも、家族と過ごす時間も大切にしたいし、趣味や勉強の枠もしっかりと確保したい。収入はたくさんほしいけど、やっぱりリスクは取りたくないから、このままサラリーマンがいいなあ」
こういう人は、自分の欲望の本質がわかっていない。世の中はトレードオフが原則だ。例外はない。これらの希望をすべて叶えることなどまずできないし、そんな虫のいい話があるとすれば、眉唾だと思ったほうがいい。
「シンプルに考えて、自分時間に満たされた人生を生きる」とは、全部を思いどおりにして、「あれも、これも」をバランスよく手に入れるということではない。
むしろ、本当に大切にしたいこと”以外”はすべて手放し、自分の根本的な欲求に向き合うことなのだ。
「自分にとっていちばん大切なことは何か?」――それをシンプルに絞り込めた人こそが、自分の時間を手に入れているのである。
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