ニューヨーク市内のスーパーでは、店内の混乱を避けるために入店客数を制限している。従業員が買物を終えた客数を数えて、人数が増えてくれば扉を開けて退店してもらう。その出ていった人数分だけ、今度は外で並んでいる客を店内に入れる。会計時には、レジに長い列ができないように気を配り、客と客の間隔を6フィート(約1.8メートル)とるように、看板を立てて注意を促している。
65歳以上の高齢者や妊娠している顧客のために、本来の開店時間の1時間前である午前7時から8時の間、特別に開店。こうしたウイルスへの抵抗力が弱い層や、感染に特に気を配る必要がある顧客が、安心して買い物ができるような時間を設けている。
従業員の安全、健康面への対応も強化中だ。大手スーパーのクローガーは、従業員や家族が感染した場合、自宅待機を促し、その補助として従業員支援基金から援助金を提供する。ウォルマートは、傘下のウォルマートとサムズクラブについて、アメリカ全土の店舗従業員に対し、3月31日に新型コロナ検査を実施。体温が37.8度を超える従業員は、自宅待機を要請した。3日間で収まらない場合は、店に復帰できない。勤務中のマスク、手袋の着用も許可している。
同社はさらに、従業員はつねに他人と6フィート離れること、手洗いは20秒間行うこと、体温が37.8度を超えたら速やかに自宅待機することを規定として設け、従業員に厳守を命じている。
ドライブスルー利用率が急増
小売店だけでなく、レストランやバーも様相が一変している。
アメリカで非常事態宣言が発令されてから、3月16日から18日の間に、アメリカ各州のレストラン、バーの店舗での飲食が禁止された。営業は持ち帰り、宅配、ドライブスルーのみが許可された。
アメリカの郊外では、車で注文するドライブスルーの利用が年々増えているため、多くの小売りチェーン店は、デジタルメニューの設置などドライブスルーのための設備投資を積極的に行ってきた。
その結果、今回の新型コロナ影響で、消費者がドライブスルーを利用するケースが急増。ファーストフード大手、ウェンディーズ・ファーストキッチンでは、1月時点で売り上げに占めるドライブスルー利用の割合が65%だったが、3月30日の時点では90%に急上昇した。
調査会社NPDが実施した、全米のファーストフード店を対象にした調査によると、ドライブスルーの2月までの1年間の累計売上高は830億ドル(約9兆円)に達し、宅配は200億ドル(2.2兆円)を記録している。ところが、外出制限要請が強まった3月末の週には、マクドナルド、バーガーキングなど大手4社のドライブスルー売上高は前の週に比べて、最大30%程度減少したようだ。
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