品川ー仙台4時間半、長距離特急「ひたち」の実情

常磐線が3月に全線再開、誰が乗っているのか

水戸を過ぎて日立まで順調に走ったが、そこで大津港駅で発生した信号トラブルにより抑止の憂き目に遭った。47分が経過してようやく発車したが、行き違い変更や先行列車に頭を押さえられて影響が膨らんでいったことは、当日のエピソードにしては少々残念であった。

ともかく、満席に近いビジネス客を水戸と勝田で半減させ、問題の大津港を通過して福島県へ。いわきまでの間でさらに半分、実数は1両に10人内外となった状態で列車はいわき以北に踏み出した。新幹線が東京―仙台間を1時間半で結ぶ現在、常磐線経由で同区間を行き来する必要性はないが、鉄道ファンだけでなくスーツにネクタイのビジネス客もそれなりに残る。

かつて茨城県内と宮城県とは塩釜や大船渡を目的地に漁業関係者が往来していたそうで、震災以前は「ひたち」も6往復が仙台に乗り入れていた。今回の再開後は3往復に半減したのは状況的に仕方ないだろうが、復旧区間沿線の自治体や復興事業に関わる役所関係者や事業者がさっそく利用しているようであった。

たしかに、下りの現地到着11時ごろ、上りの現地発17時台や19時台といった設定のあり方は、東京方面から出向く関係者にとって好適な時間帯と見て取れる。逆に彼の地から東京へ出てくるには11時台が1本目であり、東京着は15時前となっている。

なお、震災前のJR東日本においては、上野―いわき間といわき以北の特急で系統を分け、それぞれの需要に見合った編成両数の車両を投入する計画だったが、震災でご破算となった。結果、不通期間中に置き換えられた10両編成のE657系が、首都圏と仙台を直通で結ぶことになった。

海岸に白い堤防、Jヴィレッジ駅も常設化

四ツ倉から単線となり、速度も目立って落ちる。

「あの日」が嘘のような美しい太平洋岸をたどる。9年ぶりに復活した特急はE657系の10両編成となり東京圏と仙台の間を3往復する(末続ー広野間、撮影:久保田 敦)

やがて消波ブロックに波飛沫(しぶき)が上がるのを見る海岸線に出た。防波堤は全般的に新しく、コンクリートが白い。

広野―木戸間5.4kmは部分的な複線区間だが、その途中で、より間近に真っ白なコンクリートが飛び去ったのが、Jヴィレッジ駅。日本サッカーのトレーニング施設として開設されたJヴィレッジの最寄りにある。震災・原発事故に伴いいったん閉鎖され復興基地となっていたが、本来の施設に再生されたことから、2019年4月、臨時駅として開設、それが今改正で常設駅に昇格した。

次ページ9年前の姿が迫る最後の開通区間
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