品川ー仙台4時間半、長距離特急「ひたち」の実情 常磐線が3月に全線再開、誰が乗っているのか

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ダイヤ乱れの影響も含めた運転停車は別にすると、相馬の次の停車駅は、こまめな停車から一転して仙台となる。この区間では、新地の手前から浜吉田まで高架の新線を走る。そこは震災で津波の被害を受け、内陸移転を選択した区間である。高架線に入ると海側は新たに造成されたと思しき、整然とし、かつ“田んぼ”という日本的のどかさとは違った広大な圃場で、住戸は皆無に等しい。土地は平らかに海岸方面へ広がり、堤防の役割を兼ねた新設道路が続いている。海岸沿いの低地と小高い土地の境をたどり、真新しいトンネルも2つあるが、仙石線野蒜付近のように山上とも言える高い場所ではなかった。

坂元、山下と高架駅をたどる途中、行き違う普通電車は原ノ町から南の区間で見ていたE531系から、仙台地区用のE721系と701系の混成となった。新地―坂元間で福島県から宮城県に入っており、行程も終盤である。

浜吉田の手前で既存の家並みの中に入っていったが、旧線との合流は新地側とも定かでなかった。津波がすべてをさらった後、土地自体がすっかり様相を変えたため、旧線は他の廃線のようには姿を残していないのだ。

東北本線の定期特急列車も復活

亘理、逢隈を過ぎて阿武隈川を渡る。左車窓に遠望される宮城蔵王にはわずかに雪が残っていた。

仙台に到着した「ひたち3号」。東北地方の中心都市で行政機関が集積するため、復興に携わる関係者の利用がある(撮影:鶴 通孝)

ほどなく東北本線と合流して岩沼をゆっくり通過。東北本線を走る定期特急列車も、首都圏を除き「北斗星」廃止以来のこととなる。

先行する普通列車があったのか、複線に復した東北本線内は加速と徐行を繰り返しつつ、東北新幹線高架が左に現れて南仙台を通過。市街地の高架に上がって太子堂、長町とゆるゆる走り、仙台は1番線に13時42分に到着した。定刻は12時31分なので約70分遅れであったが、定時であっても4時間半。上野からの距離(営業キロ)は363.5kmで、品川発着ならば373.9km。新幹線の開業が相次ぎ在来線特急の運転距離が短くなった現在、九州の「にちりんシーガイア」や、北海道の「宗谷」に追随する長距離特急になった。

鉄道ジャーナル編集部

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車両を中心とする伝統的な鉄道趣味の分野を基本にしながら、鉄道のシステム、輸送の実態、その将来像まで、幅広く目を向ける総合的な鉄道情報誌。創刊は1967年。

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