品川ー仙台4時間半、長距離特急「ひたち」の実情 常磐線が3月に全線再開、誰が乗っているのか
東日本大震災から9年を経過した中、福島第一原発事故の影響で鉄道の再開ができずにいた最後の区間である。運転再開に伴い、いわき以南で運転されていた特急「ひたち」は3往復が品川・上野―仙台間の運転となった。
初日は各地で記念イベントも予定されていたが、新型コロナウイルス感染症の影響で軒並み取りやめとなった。それでも、仙台駅ではマスク姿の駅員らが横断幕を掲げて品川行き「ひたち14号」を送り出し、双葉駅で計画された「ひたち3号」お迎え式が関係者少人数に絞って行われた。それでも赤羽一嘉国土交通大臣も出席、せめてものメニューとして行われた和太鼓演奏に試乗や見物に来た人々が遭遇し、横断幕を掲げるなど小さな賑わいを見せた。
特急の車体に「つながる常磐線」の文字
その改正から2日後、初の平日となる16日月曜に仙台行き「ひたち3号」に乗車した。朝ラッシュ時の上野東京ラインのダイヤの関係から、同列車は品川ではなく上野始発で8時に発車する。今やますます希少となっている上野駅地平ホーム発の列車であり、懐かしい感覚で乗り場を目指すと、E657系10両編成の白い車体には、ドアの脇にことごとく「つながる常磐線」のステッカーが貼付されていた。
発車後の自動放送の後、車掌が案内を引き継いだ。
「この列車は常磐線特急ひたち3号、仙台行きです。常磐線は3月14日のダイヤ改正より品川―仙台間の全線で運転を再開しており、特急列車は上り下りとも3本ずつを運転しております。東日本大震災以来、お客さまには長い期間ご迷惑をおかけしましたが、ご協力とご理解ありがとうございました。仙台方面へお出での際は、どうぞ常磐線をご利用ください」と、震災の以前から同線に乗務してきたという車掌の、湧き出る思いを込めた放送であった。
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