乗客から感染?コロナで英バス運転手15人死亡 感染ルート不明だが「車内の対策不十分」の声

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日頃から、乗務員の運賃支払いチェックなしで乗り降りできる「信用乗車」のシステムを導入しているドイツなどの国々はもっとシンプルだ。「前の扉から乗るな」とステッカーを貼り、運転手との距離を確保する対策をとっている。

デュッセルドルフのバスの例。前方ドアからは乗車禁止だが、張り紙の文字はなぜか「ドア故障」とある(写真:Hiro Sanchess)

ただ、フランスやドイツでも感染が大幅に拡大しているため、バスや地下鉄の乗客はほとんどいないのが現状だ。例えば、日本人在住者の多いドイツ西部のデュッセルドルフでは「バスも地下鉄も土曜ダイヤで運行。乗客も医療関係者か建設従事者くらい」(現地在住の日本人男性)と外出自粛の動きがしっかり定着しているという。

欧州での新型コロナウイルスの感染拡大をめぐっては、厳しい被害を受けたイタリアとスペインでおおむねピークを過ぎたとされるものの、イギリスの感染ピークは4月中旬以後とされる。外出制限は「とりあえず3週間は外出自粛で推移を見よう」と開始されたが、連日死者が増え、1日当たりの死者は1000人に達する勢いとウイルスの猛威はやむ兆しがない。

イギリスは外出制限を延長

イギリス政府は4月16日、新型コロナウイルス感染防止対策の外出制限措置を少なくとも3週間延長すると発表した。現状で「制限緩和ができる状況にまで落ち着いていない」という判断によるものだ。これで合計6週間にわたって「事実上の外出禁止令」が続くことになる。

「欧州各都市はロックダウンを食らって、何もかもが止まり、街の人々は全く動きが取れない」と思われている向きも多いようだ。しかし実際には、市民が最小限の社会生活が営めるよう、交通セクターの職員らは感染のリスクを負いながら日々バスや地下鉄などの運行に努力を払っている。

「トンネルの脱出」までは当分かかるとみられる中、「買い物もできない、乗り物にも乗れない」といった文字通りのロックアウト、完全封鎖にならないようにするには、市民の強い自覚が必要だろう。

さかい もとみ 在英ジャーナリスト

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Motomi Sakai

旅行会社勤務ののち、15年間にわたる香港在住中にライター兼編集者に転向。2008年から経済・企業情報の配信サービスを行うNNAロンドンを拠点に勤務。2014年秋にフリージャーナリストに。旅に欠かせない公共交通に関するテーマや、訪日外国人観光に関するトピックに注目する一方、英国で開催された五輪やラグビーW杯での経験を生かし、日本に向けた提言等を発信している。著書に『中国人観光客 おもてなしの鉄則』(アスク出版)など。問い合わせ先は、jiujing@nifty.com

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