乗客から感染?コロナで英バス運転手15人死亡 感染ルート不明だが「車内の対策不十分」の声

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3月27日付の記事(「『満員電車は死ぬぞ』コロナでロンドン市長訴え」)でもまとめたように、市民に対し「STAY HOME」と徹底的に外出自粛を訴え続けた結果、3月19日の時点で2月上旬比30%だった地下鉄の利用者数は4月17日に5%まで減少。バスも同時期に59%から18%まで落ちた。地下鉄は運行間隔が20~30分まで広がっているので、バスへの依存度が高くなっている。

そんな中、ロンドン交通局では、路線バスの「ほぼ平常運行」を目指す一方で、職員らをウイルスから守るための工夫を行っている。2mが必要とされる人と人との「社会的距離(ソーシャルディスタンス)」を維持するため、運転席のすぐ後ろの座席にはテープを張って「使用禁止」とした。また、バスが入庫後、車内の消毒は必ず行っているという。

コロナでバス運転手15人が死亡

「STAY HOME」キャンペーンが奏功し、運行中のバスは利用客が「ほとんどゼロ、いても3~5人」というところまで減ってきている。これなら「ソーシャルディスタンス」の問題もずいぶんと解決し、バスでの移動には感染リスクはないだろうと思われていた。

ところが4月に入って、立て続けに「バス運転手らがコロナで亡くなる」という悲報が飛び込んでくるようになった。4月17日までに亡くなったロンドン交通局のバス運転手は15人に達した。コロナ禍はいまや「運ぶ担い手」が命を落とす事態になってしまっているわけだ。

これまでに、死亡したバス運転手らの具体的な感染ルートは明らかになっていないが、バス運転手らで構成される労働組合の幹部は「運転手にマスクや防護服の着用を求めたい」と改めてコロナ禍における職場環境の改善を訴えている。しかし、現実はいまだマスクの着用さえも任意、という状況だ。乗客からうつされた可能性は否定できない。

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