乗客から感染?コロナで英バス運転手15人死亡 感染ルート不明だが「車内の対策不十分」の声

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バスは入庫ごとに車内が消毒されるというものの、運転手たちは感染へのリスクに怯えながら働いているという。

ローカル紙に掲載された、亡くなった運転手の同僚のコメントによると「車庫に置いてある消毒液はアルコール成分のない不完全なもの」で、乗務の際には家庭用の漂白剤を薄めたものを運転席の周りに吹き付けてから発車する、と述べている。利用客は「ほとんどいない」状況だが、それでも運転手らは「乗客が乗ってくると怖い」と感じているという。

ロンドンのバスは、運賃支払いがすべてICカードなどのキャッシュレスになっているが、大半のバスの課金センサーは運転手横の1カ所のみ。乗客の動きとしては「前乗り・先払い」となっている。運転席は、運転手への暴力行為を避けるなどの目的で、大きなプラスチック板で保護している。しかし密閉はされていないため、ウイルスに感染するリスクはある。

運転手への新型コロナウイルス感染防止対策として、乗客の乗り降りは中扉でのみ行うようにした(筆者撮影)

前出のローカル紙上で、同僚運転手は「交通局が運賃を徴収したい方針は理解できる。しかし、乗客が運転手と接近することで感染リスクが増すことは看過できない」と疑問を投げかけている。

ようやく4月8日に「前扉から乗客を乗せない」というトライアルが始まった。9つのルート、バス140台を使って実験を行ったところ、利用客が少なく十分にソーシャルディスタンスがとれると判断。20日からはロンドン市内すべてのバスで「中扉から乗客を乗せる」方法に切り替えた。つまり「前乗り・先払い」システムを放棄したわけだ。その結果、当分の間バスは無料で乗れることになった。

パリは運転席後ろを立入禁止に

乗客と接触する可能性が高いバス運転手の感染対策。欧州の他国ではどのような対応をとっているのだろうか。

ロンドンと比較されることが多いフランスの首都パリでは、大半の市民は非接触式ICカード「ナヴィゴ」(navigo)で乗車するが、運転手から片道切符を現金で買って乗るスタイルも維持してきた。

ところが、今回の新型コロナ対策に当たっては、前のドアを閉鎖し、運転席から後ろのスペースを「立入禁止」にする施策をとっている。「切符は事前に買って乗るように」という案内で済ませられるわけだ。また、車庫に入庫するバスは椅子や手すりなどを入念に消毒。パリ交通公団(RATP)は、衛生への配慮もしているとばかりYouTubeでPRを図る念の入れようだ。

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