最近の死者数は実際よりも少なくカウントされているとみて、ほぼ間違いない。平時でさえ死亡証明書の処理・回収には時間がかかり、完全な死者数が確定するまで何週間も要する。新型コロナが関係しているケースとなれば、なおさらだ。
NCHSのボブ・アンダーソン死亡統計部門長は「新型コロナによる死亡はすべて手入力しなければならない」とし、ニューヨーク市の死亡統計には通常、実際の死亡から10~11日のタイムラグがあると語った。
つまり実際の数字はこれよりも高くなる可能性があるが、現時点の統計に従えば、ニューヨーク市では4月4日までの1カ月間に約9780人が死亡したことになる。例年より5000人も多い数字だ。
うち3月下旬以降の2週間は、さらに厳しい数字になっている。この間の死亡者は約7000人と、通常この時期に想定される死者数の3倍を超えた。
大規模災害時の死者が出ている
死者数には季節性がある。死者数は例年、冬に高くなり、夏に低くなるからだ。インフルエンザだけが原因というわけではない。死者数の変動の大部分は通常、心疾患による死者数の季節変動によって説明できる。
しかし、この1カ月間の死者数は通常の季節変動で想定される数値を大きく超えており、むしろ大規模災害時のそれに近い。市の検死局は病院の外に冷蔵トレーラーを設置し、その中に遺体を安置している。市の救急隊員は人々を病院に連れてくることができず、一般家庭や路上で死亡を宣告する事態となっている。
大規模災害・テロに際し地域社会の対応を支援しているケニヨン・インターナショナル社のロバート・ジェンセン会長は、今回のコロナ禍はニューヨーク市に永続的な傷跡を残すことになるだろう、と語る。
「墓地が今後もこのことを思い起こさせる存在になる」というのだ。同会長は、1918年に大流行したスペイン風邪で犠牲になった人々のために作られたヨーロッパの埋葬地を引き合いに出して言った。「(ニューヨークの墓地には)2020年3月、4月、5月と記された墓碑で埋め尽くされた場所ができるだろう」。
(データ分析、執筆:Josh Katz記者、Margot Sanger-Katz記者)
(C)2020 The New York Times News Services
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