運営企業であるポケットマルシェの事業は主にプラットフォームの企画運営で、出品にまつわる作業はすべて出品者が行う。売れた商品の分だけ、価格の15%が販売手数料としてポケットマルシェに支払われる仕組みだ。
同社広報担当によると、今回、新規利用者が増え始めたのが2月20日頃から。さらに3月に入って自粛要請が始まったことによりアクセスが急増したという。
「3月の訪問者数は2月の1.5倍になりました。平時では考えられない増加率です」(ポケットマルシェ広報担当者)
その他、3月の会員登録数は前月の約2.6倍、生産者による新規出品数は約1.6倍に増えたとのことだ。
コロナに対抗する企画を複数立ち上げ
同社では3月に入ってから、新型コロナに対抗するいくつかの企画を立ち上げてきた。
3月3日に始めたのがフードレスキュー企画、「#新型コロナで困っています」だ。
「自粛ムードで外食やイベントが減り、飲食店はじめ流通など、もともと予定していた販路がなくなってしまい、食材が大量に余って困っているという声が生産者さんから寄せられました。開始当初は60品ぐらい対象商品が出品されていましたね。対象商品は次第に増えており、今は70品ほどがレスキュー企画に掲載されています。スタート以来、多くの消費者の方から反響をいただいています」
3月16日からは「#新型コロナを吹き飛ばせ」企画がスタート。これは逆に生産者からの消費者を応援したいという声に応え始めたものだ。
「値下げ商品を出品した生産者さんもいましたし、例えばとうもろこしからポップコーンをつくったり、豆から味噌をつくるキットなどの体験要素がある商品ですね。お子さんが休校になったこともあり、親子で一緒に楽しめるように、という意図が込められていました」
商品とともに、思いやりを伝え合うムードが高まっているようだ。
非常事態においてはつながることの重要性を改めて感じるものだ。一方で、つながりがマイナスの方向に向かうこともある。その1つがチェーンメールなどの風評だ。これが原因で、トイレットペーパーや食材の買い占めによる品薄も起こっている。
「生産者の方は顔の写真や実名も掲載していますし、消費者の方も購入すれば配送先として名前や住所を伝えることになるので、イヤなコミュニケーションはありませんね。今回、消費者の方が生産者の方にマスクを送ったこともあったようです。リピーターが7〜8割と多く、平時から濃い関係がつくられていることが大きいと思います」
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