思春期に入った発達障害の子供との向き合い方 「ゴールは1つではない」と伝えることが大切
コーヒー焙煎(ばいせん)士として活躍する岩野響さん(18)は、小学校中学年でASDと診断を受け、中学校時代に不登校を経験した。
「僕の場合は全部がズタズタだった。提出物? 板書を写して授業を聞く? そういう決まったことみたいなのが、根本的に不可能に近かった」
コーヒー焙煎の道に進み、講演も行う
両親は「そんなに苦しむなら、学校に行かなくてもいい」と伝えた。その分、家事や家業の染め物を手伝わせた。岩野さんは料理にハマり、カレーの隠し味に入れたコーヒーにハマり、コーヒー焙煎の道へ進んだ。
今や、焙煎を研究する「HORIZON LABO」を立ち上げ、焙煎豆を販売。表参道に店舗も出した。講演で人前にも立つ。
「多くの人は、いい学校を出ていい仕事に就いて、という順番で考える。僕の場合は、仕事がゴールじゃなくて、学校に通えないから仕事をしている。ですが、仕事を始めてみたら、必然的に人に会い、自分の趣味嗜好に合ったコミュニティーができて、苦手だったコミュニケーションも克服して、という感じです。『そういえば自分は発達障害だったっけ』くらいに昔のことを消化しています」(岩野さん)
思春期の渦中は、発達障害の子も親もともに苦しむ。岩野さんは実体験から、心を軽くする方法として「ゴールは1つじゃないと発想してみる」を挙げた。
(ノンフィクションライター・古川雅子)
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