自身もコロナウイルスの陽性反応が出ているMTAのパトリック・フォイエ会長は、当初MTAは、健康な人はマスクを着用する必要がないという世界保健機関と疾病対策予防センター(CDC)のガイダンスに従った、と語った。
フォイエ会長は、CDCがマスク着用に関するガイダンスを変更する前に、MTAはそれ以上の対策をしたと言う。フェイスシールド数千個と手袋250万組に加え、すでにマスク46万枚を職員に提供していたという。「MTAはこの危機の最前線で戦う、勇敢な職員たちの健康と安全を保護するために積極的な行動をとっている」(フォイエ会長)。
5604人に感染症状、欠勤は4倍に
それでもなお、約1500人の交通機関職員がコロナウイルスに陽性反応を示しており、5604人に感染症の症状が見られるため、自主隔離を行っている。パンデミックが始まってから欠勤は4倍に増加していると当局は報告している。
交通当局は、公共交通機関に依存しなくてはならない人々に対して、システムを可能な限りスムーズに稼働させること約束すると改めて公言した。
しかし、すでにこの職員不足により、北米で最大の広大な公共交通網を運営する同機関の能力が損なわれているのも事実だ。3月末には、当初の緊急計画で定められていた25%分の事業を削減したが、さらにサービスを大幅に削減することを余儀なくされた。また、その計画により、協同作業空間でのソーシャルディスタンス(社会的距離)措置を促進するため、1日に必要な職員の数を半分に減らしたと当局は言う。
交通機関職員は現在、人員不足の悪化が続けば、低下させたシステムでさえ稼働がますます困難になる、と警告している。MTAでの勤続18年の運転士であるクリストファー・ミラーは「地下鉄を走らせる人がいなくなれば、最終的にはデフォルトで地下鉄は閉鎖されるだろう」と言う。
当局は3日ごとに電車の車両やバスの消毒を行っており、本数の減った地下鉄でも、乗客には空いている電車を待って過密を防ぐように促している。
職員が抱える安全性への懸念に対応すべく、当局は3月27日に、毎週7万5000枚を超えるマスクを最前線で働く職員に配布すると発表した。その後、運転士にもフェイスシールドを配布している。当局はまた、この数週間で職員に手袋を250万双、手指消毒剤、クリーニング用品、消毒用ウェットティッシュを配り、また窓口の職員と乗客による現金取引を休止した。