JRvs私鉄、競合区間の運賃はどっちが安い? 主要19区間、普通運賃と定期の両方を比較

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福岡圏では博多―久留米・大牟田間のJRと、西日本鉄道の西鉄福岡(天神)―西鉄久留米・大牟田間が競合する。

西鉄天神大牟田線の大牟田駅。博多(西鉄福岡)―大牟田間は西鉄が普通運賃、定期運賃ともに安い(編集部撮影)

西鉄の西鉄福岡(天神)―西鉄久留米間の運賃は630円だが、JRの博多―久留米間は760円。また、西鉄福岡(天神)―大牟田間の運賃は1040円だが、JRの博多―大牟田間は1310円という結果になった。

ここに記載しなかった路線も含めると、普通運賃でJRのほうが割安な路線は19路線中6線。通勤定期でJRのほうが割安な路線は19路線中9路線という結果になった。

30年間の運賃上昇率は?

今から約30年前のJRと大手私鉄の競合状況はどうだったか。1990年6月1日時点の運賃を見ていくと、たとえば新宿―拝島間はJRが440円、西武が330円。大阪―三ノ宮間ではJRが390円、阪急と阪神は260円。JRのほうが割高という傾向は変わらない。

JR線の運賃表。30年間の運賃上昇率は大半の区間で大手私鉄のほうが大きい(編集部撮影)

しかし、現在と比較した運賃上昇率を見ていくと、新宿―拝島間はJRが5.4%で、西武は33.3%。大阪―三ノ宮間はJRが5.1%、阪急と阪神は23.0%。私鉄の上昇率の大きさに驚かされる。

1990年といえば国鉄分割民営化からまだ3年しか経っていない。JRは旧国鉄体質の無駄な部分を削ぎ落とすことで費用を減らし、運賃の上昇幅を抑えることができた。もっとも、福岡圏ではJRと西鉄の運賃上昇の度合いは大差ない。三大都市圏と比べると、福岡圏ではコスト削減余地に限界があり、運賃を私鉄並みに上げざるを得なかったということだろう。

新型コロナウイルスの影響でJRも私鉄も乗客数減少に苦しんでいる。それが将来の運賃に反映されることがないか、各社の動向を注視すべきだろう。

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