イタリア医療崩壊、カウントされない「在宅死」 医師は手いっぱい、マスクも防護服も不足

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イタリアの新型コロナ死者数は4日時点で1万5362人で、世界全体のほぼ3分1を占める。しかし、あまりに多くの患者が家で亡くなっており、実数はこれをはるかに上回る可能性がある。

ベルガモの地元紙や調査会社が自治体のデータから試算したところ、同県で3月に亡くなったのは5400人で、1年前の6倍だった。最大4500人は新型コロナによるものだったとみられる。コロナの死者は公式統計の倍以上になる計算だ。この試算には、高齢者支援施設で亡くなったと医師から報告された600人も含まれている。

葬儀場を経営し、ベルガモ周辺の村々で仕事をするピエトロ・ズッケーリさんは、この2週間、業務の半数以上は家から遺体を預かることだったと話す。これまでは大半が病院か高齢者支援施設からだった。

「むごい選択を迫られている」

ベルトゥレッティさんの家族のつらい体験は、プライマリーケアの制度が新型コロナ流行に直面し、いかにほころびを見せることがあるかの好例だ。

欧州の一部や米国で、医師は対面ではなく、できるだけ電話で医療相談に乗ることが奨励されている。

シルビアさんはいつもの家庭医が入院してしまったため、代わりの医師に何度も電話し、父親が悪化した際にもかけ直したが、言われた言葉は「往診するわけにいかないので、辛抱してください」だったという。

この医師はロイターの取材に応じ、自分たちはむごい選択を迫られていると涙声で語った。1日当たり300─500件の電話を受けている上、感染した同僚医師の分も穴埋めをしているという。「選別をしなければならなかった。咳が出て熱があるだけでは往診できない。最も深刻な患者を診るので精いっぱいだ」と話した。

ベルガモ県の家庭医協会によると、同地域では7万人が新型コロナに感染している可能性がある。

ベルガモ市の市長は「我々は最善を尽くしているにもかかわらず、皆を病院に連れて行くことができず、家族はときに、このまま死を看取ることになるのでは、との不安の中で患者の世話をすることを迫られている」と訴えた。

Emilio Parodi Silvia Aloisi

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