プレサンスに試される巨大個人商店からの脱却 関西の猛者が関東エリアの覇者の軍門に
業績好調で株式市場からも好感されていたプレサンスの歯車が狂い始めたのは2019年になってからだった。2019年7月、大阪府内の学校法人「明浄学院」が、自身が運営する高校の土地売却にかかる手付金21億円が所在不明になっていることを発表。その手付金の出元がプレサンスであったことが明らかになり、2019年10月には同社に家宅捜索が行われた。
プレサンスは「当社に対する直接の容疑ではない」と火消しのリリースを出し、2019年11月末に開催された決算説明会でも、山岸社長は自身の潔白と会社業績への影響がないことを訴えていた。ところが、12月初旬にプレサンスの第一開発部長が、そして中旬には山岸氏自身も手付金を自身の口座に還流させていたとして、業務上横領容疑で逮捕される事態へと発展した。
一連の事態を重く見たのが金融機関だった。プレサンスの関係者によれば、本件以外にも疑義が持たれる取引があるかを懸念し、事件の全容が明らかになるまで新規融資に後ろ向きになったという。分譲マンションに関しても、物件の価格や利回りには問題がない一方で、プレサンスが事業主という点で金融機関が融資に慎重になるケースも出た。
2020年に入って事態が動いた
プレサンスの事業モデルは、賃貸ビルなどのストック収入を持たず、マンションを売却して回収した資金を次の開発資金に充てるスタイルだ。物件売却が進まず、新規融資も不透明な中では資金繰りに支障をきたす。
そこで同社は、利益の源泉であるマンション用地の売却に踏み切る。2019年末ごろから、複数のデベロッパーが「プレサンスから用地売却の打診が来た」と話す。拡大し続けていた用地ストックは、2019年9月末の1745億円から2019年12月末には1630億円へと減少に転じた。
![](https://tk.ismcdn.jp/mwimgs/5/8/570/img_58150b16d316df073d354776bd64925d212425.jpg)
事態が動いたのは2020年に入ってからだ。山岸氏とオープンハウスの間で株式譲渡に関する話し合いが持たれた。話を持ち掛けたのは山岸氏のほうで、自身と資産管理会社が保有する株式をオープンハウスが取得することとなった。取得額は非公表だが、時価で取得したもようで約220億円とみられる。
プレサンスにとって、今回の資本業務提携の効果はオープンハウスとの協業よりも信用供与の面が大きいだろう。プレサンスはかねて「(横領容疑は)山岸氏個人の問題であり、プレサンスとは関係がない」と強調していた。今回の株式譲渡で山岸氏個人の持ち分はゼロになり、山岸氏の資産管理会社の持ち分も19.56%から7.15%まで減った。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら