オペル、14年ぶりの日本再参入に勝算はあるか 知名度ゼロからの市場開拓には挑戦が必要だ
タイヤも、あえてインチアップした扁平タイヤの装着は見送る。代わりに、車体外装色は魅力的なラインナップを揃える。ことにコンパクトカーのコルサは、たとえばトヨタ「アクア」が導入時に多彩な車体色を揃え、街を華やかにしたようなやり方を真似てもよいだろう。
あわせて、カーシェアリングの選択肢にオペルを積極的に入れる法人営業を行い、オペルの利用体験者を増やしていく。BMWの「MINI」が、早くからカーシェアリングに参入したように、ここでもオペルの体験者を増やしていく戦略だ。その際も、車体色の豊富さは目立たせるうえで重要だろう。
次に、販売自体も従来の「買ってもらう」から「使ってもらう」発想に切り替えてはどうだろう。簡単に言えば、リースの比重を増やすことだ。
たとえば、ボルボ・カー・ジャパンが「スマボ」の名で導入したように、毎月支払う定額料金の中に、車両価格はもちろん、整備費用や保険、内外装が損傷したときの補償までをも料金に含め、クルマを安心して使えるようにすることに徹するのである。
オペルを選べば、手間いらずで余計な出費を心配せずに済む。多少の傷を気にせず、クルマで外出する便利さを楽しんでもらう。そうした安心を提供するブランドとなれば、ブランディングに余計な活動費を計上せずとも、巷の評判がおのずとオペルを選ぶ動機になっていくだろう。
それはまさに近年の若い世代の消費動向とつながり、若い家族にも最適だ。今後10年で市場はその傾向をより強めていくはずである。市場の変化を先取りするかたちで、「オペル方式」としてしまうのだ。
そうした挑戦的思考の販売店に的を絞った募集をしていくことも重要だろう。そのためには、これまでの固定観念から脱却する必要がある。
テスラが成功したように
成功の秘訣は、既存の販売網ではできなかったり転換し切れなかったりした売り方のできる事業主を見つけ、保守管理の仕方も見直しながら取り扱い網を構築し、それに見合った品揃えとする。
電気自動車のテスラが、一つの見本だ。そうした発想を持てるなら、2021年からの再参入を新鮮にはじめることができるに違いない。自動車メーカーとしての歴史は長くても、新しいブランドとして立ちあがる発想である。
従来通り、ブランドをまず浸透させる発想で、輸入車同士での装備や販売価格帯をみながら再参入したのでは、オペルの未来は必ずしも明るくないだろう。
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