「MINI」は、なぜ日本で根強い人気を誇るのか 英国で誕生して60年、その歴史を探ってみた
MINI(ミニ)がイギリスで誕生して、今年で60年を迎えた。現在はドイツのBMWがMINIを引き継ぎ、開発・製造・販売をしている。とはいえ、イギリスを本拠とし、今も英国車らしい雰囲気を大事にしている。
そのMINIは、国内輸入車販売で根強い人気を保っている。2017年度(2017年4月~2018年3月)のJAIA(日本自動車輸入組合)の集計によれば、MINIは5位となっており、近年ではその位置を堅持している。日本でMINIが継続的に愛好されている様子を知ることができる。
庶民のクルマとして誕生したMINI
MINIは、1959年8月にイギリスで売り出された。当時の販売価格は、約55万円だった。製造したのは、BMC(ブリティッシュ・モーター・コーポレーション)というイギリスの自動車メーカーである。
BMCは、第二次世界大戦後にモーリスモーター社とオースティンモーター社が合併してできた企業で、イギリス一の規模を誇った。それでも戦後の経営は困難を極め、イギリスに復興をもたらす経済的な庶民のクルマとしてMINIが誕生した。これを開発したのが、オスマン帝国(現在のトルコ)生まれのアレック・イシゴニスである。
イシゴニスは、開発の前提として車体寸法をまず定めた。全長3メートル、全幅1.2メートル、全高1.2メートルだ。この小さな箱にすべてが収まるクルマを設計した。もちろん、中心となるのは人間であり、大人4人がきちんと座れることを第一とした。そのうえで、エンジンや変速機などの機械をのせ、また後ろに荷室も備える。
この人間中心の考え方は、例えば日本のスバル360でも見ることができる。富士重工業(現SUBARU)の百瀬晋六は、まず4脚の椅子を持ち出して前後に並べ、人がきちんと座れる広さを検証し、そこから車体寸法を決めていった。背が高かったといわれる百瀬が足を伸ばせる空間ということで、スバル360は当時の軽自動車の中でも「室内が広い」と評判になった。
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