「MINI」は、なぜ日本で根強い人気を誇るのか 英国で誕生して60年、その歴史を探ってみた

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その点は、2001年からのBMW・MINIとなっても重要視された。当初、BMW・MINIの開発に際しては造形案が2つあり、1つはイシゴニスのMINIを継承するもので、もう1つはまったく別の姿とするものであった。イギリスでは、その第2案が推奨されたが、アメリカをはじめ海外からはMINIの形を継承する支持が多く、今日のMINIの造形ができあがったのである。

イギリス人にとってMINIはすでに古く、やや飽きのくる姿でも、ほかの国の人々にとってMINIはあくまでMINIであって、ほかの小型車とは違う価値をその形に求めた。

MINIを選ぶのは姿かたちだけではない

それは単に姿かたちをまねることではない。なぜなら、VWビートルの姿をまねたニュービートルは、続いてザ・ビートルと呼ぶ車種への進化を見せたが、生産終了が発表されている。

初代ビートルは、フェルディナント・ポルシェ博士が戦前戦後の時代に最適な小型車として、後ろにエンジンを搭載する後輪駆動として設計した。その造形は、ドイツに建設された速度無制限のアウトバーンを走行するうえでの空力を重視した格好であった。しかし、ニュービートルはゴルフを基にした前輪駆動であり、あの姿である必要性は機能面ではなかった。

一方、MINIは、当初から意図的に前輪駆動を採用し、なおかつエンジン性能のみならず静粛性の観点から水冷エンジンを選んだ。それは、そのまま現在のMINIに通じる技術要素である。形をまねるだけでなく、その背後に技術の必然がある。

そこが60年に及び人気を保ち続けた理由であり、BMWは、MINIというブランドをただ継承するにとどまらず、存在理由をも継承したといえる。新旧MINIを愛好する人たちも、クルマの性能や格好だけにとどまらず、そうした精神に共感するからこそMINIを選ぶのだと思う。

御堀 直嗣 モータージャーナリスト

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みほり なおつぐ / Naotsugu Mihori

1955年、東京都生まれ。玉川大学工学部卒業。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。日本EVクラブ副代表としてEVや環境・エネルギー分野に詳しい。趣味は、読書と、週1回の乗馬。

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